■「激辛大食い」バラエティでも好感

 気になるのは、そんな彼女の今後だ。彼女の女優人生にはバラ色の未来が広がっているのかと思いきや、スポーツ紙の芸能担当記者は「代表作といつ出会えるかがポイント」と話す。

「現在、19歳の森さんですが、女優としては実はそんなに若くない年齢です。連ドラで主演作までするようになったので、いまさらオーディションを受けまくることもキャリア的に考えて難しい。個人的には、20歳になるまでに『自他ともに認める代表作』に出会えるかどうかで彼女の女優人生は決まってくると思います。ただ、20歳前後の若手女優は意外と数が多いので、熾烈な争いになると思います。コロナ禍で映画の企画がバタバタとなくなるなか、数少ないパイを彼女がどう奪い取っていくのか。ここからが腕の見せどころではありますよね」

「天気の子」でゆるぎない評価を得た森だが、彼女の声にはやはり天性のものがある。「ラストレター」の主題歌を担当して歌手デビューしたり、オロナミンCのCMではホフディランの名曲「スマイル」をカバー。もしかして、“歌える女優”枠としてそのオリジナリティを見せつければ、大ブレイクにつながるのかもしれない。

 TVウオッチャーの中村裕一氏は、そんな森七菜の未来をどのように見ているのか。

「とりわけ今年に入ってからの飛躍が目覚ましく、初出演となった朝ドラ『エール』では二階堂ふみ演じるヒロインの妹・梅を演じ、国民的女優への道を着実に歩んでいます。放送中の『この恋あたためますか』も終盤に向け盛り上がることは必至でしょう。そんな彼女の仕事の中でも目を見張るのが、バラエティ番組で見せる豪快な食べっぷり。7月放送の『沸騰ワード10』では焼肉食べ放題の店でありったけの肉をこれでもかと頬張り、30分で650グラムの肉を完食。9月放送の『有吉ゼミ』でもメイク落ちやテレビカメラも気にせず汗だくになりながら超激辛の火鍋をたいらげるというド根性を見せ、十分すぎるインパクトを与えてくれました。女優だとこの手の企画は敬遠しがちですが、真面目に全力で、そして一生懸命に食べるその姿に好感を持った人もきっと多かったと思います。芝居、歌、そしてバラエティと、まんべんなく、しかも着実に力をつけており、その成長速度は末恐ろしいほど。2021年も快進撃が続くでしょう」

 まだまだポテンシャルを存分に秘めている女優・森七菜が大ブレイクするのはいつの日か。その瞬間を見逃さないよう彼女を追い続けていきたい。(藤原三星)

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藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・芸能ウェブライター。エンタメ業界に潜伏し、独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を書き続ける。『NEWSポストセブン』『Business Journal』などでも執筆中。

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