『「かめる幸せ」をとり戻す』より(イラスト/ひのあけみ)
『「かめる幸せ」をとり戻す』より(イラスト/ひのあけみ)

 近年、失った歯の代替法として知られるようになった「インプラント」。「第二の永久歯」といわれるほど、「かむ力」がとり戻せることで注目を浴びています。しかし、「インプラントは高いから……」と治療を躊躇している人も多いようです。日本口腔インプラント学会は、広く一般の方々に向けて、インプラントについての正しい情報を伝える公式本『「かめる幸せ」をとり戻す』を9月に刊行しました。本書から抜粋する形で「インプラントが高い正当な理由」「インプラントのコストパフォーマンス」についてお届けします。

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「インプラント」という言葉を耳にはしても、具体的な治療内容はあまり知られていないからか、インプラント治療に対する誤解がまだまだあるように思います。

「インプラントは高い」も、誤解の一つといえるでしょう。

 たしかにインプラント治療は、ほかの治療法より患者さんの経済的負担は大きくなります。ただ、「高い」にもきちんと理由があり、それを理解すれば「それ相応の負担」といえるのです。

 インプラント治療は、「外科手術」が必要な治療です。

 手術に求められる歯科医師の高度な技術や滅菌環境をつくるために、多方面で通常の歯科治療よりもずっと費用がかかります。

 また、インプラント治療に用いられる材料には、あごに埋め込むインプラント(人工歯根)だけでなく、インプラント(人工歯根)に人工歯(上部構造)をとめるスクリュー(ねじ)や、型取り用の専用パーツなどの特殊なものが多数あります。これらに対しても、それぞれに費用がかかることになります。

 これが「高い」の主な理由です。

 加えて、インプラントは自由診療のため、治療費が全額自己負担になることも高い理由の一つです。

 健康保険の適用が可能な保険診療は、患者さんの負担は3割(70歳未満)ですが、自由診療は、各歯科医院が設定した治療費の全額を負担することになります。

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