『「かめる幸せ」をとり戻す』より
『「かめる幸せ」をとり戻す』より
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 高齢になると、かめない食品が増えたりするなど、お口の機能が低下していきます。それはやがて全身への健康にも影響を及ぼします。日本口腔インプラント学会は、広く一般の方々に向けて、かむことの重要性についての正しい情報を伝える公式本『「かめる幸せ」をとり戻す』を9月に刊行しました。本書から抜粋する形で「体の健康とお口の健康のかかわり」「オーラルフレイル予防の重要さ」についてお届けします。

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 超高齢社会を迎えた日本で、今後ますますキーワードとなる言葉があります。

 それが「フレイル」です。「フレイル」とは、高齢になって、心身の機能や活力が衰え、虚弱となった状態のことをいいます。「健康」と「要介護」の間といえばいいでしょうか。

 フレイルに早く気づき、治療や予防をすることで、要介護に進行することを防ぐと考えられています。

 フレイルを予防するために大切といわれる三つの柱があります。「身体活動」「社会参加」「栄養」です。

 からだを動かしたり(身体活動)、人と交わったりする(社会参加)ことと同じくらい、「栄養」は大切です。この「栄養」は、単に「バランスよく食べる」だけではありません。かむ力やのみ込む力など、口腔機能も含まれます。適切なお口の管理・ケアをして、口腔機能の低下を防ぐことも重要なのです。

 高齢になると、かめない食品が増えたりするなど、お口の機能が低下していきます。

 この状態を「お口」の「フレイル」で、「オーラルフレイル」といいます。

 オーラルフレイルになると怖いのが、負の連鎖です。かめなくなると、食べられる食品の数が減ります。すると、さらにかむ力が落ちてしまいます。

 この結果、口腔機能が低下し、低栄養やサルコペニア(筋力低下)のリスクが高まります。

 オーラルフレイルは、からだのフレイルに先がけて、始まります。調査によると、オーラルフレイルと認定された人は、そうではない人と比べると、24カ月後にはからだのフレイル、サルコペニアともに2倍以上の発生率でした。

 45カ月後の要介護認定、死亡の発生率も2倍を超えていました。

 オーラルフレイルは、全身の機能が低下するサインともいえるのです。

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