アジア圏の学生にとって、日本への留学は十分魅力的だということだ。

「ぼくの研究室でも留学生を多く受け入れていますが、彼らは非常に優秀ですし、日本語ができる人もいます。世界大学ランキングでいうと、日本の大学は留学生の受け入れが少ないことと、英語化が遅れていることがネックとなっていましたが、これまでならアメリカ、欧州、オーストラリアに留学していた層が日本を留学先に選ぶようになると、ランクは上昇するかもしれません。人材が豊かになるので、企業にとっても活性化のチャンスになります」

 そのためにも、西田さんは「いまいる留学生の処遇も向上させることが大事」と強調する。現在は一時帰国した留学生が再入国できなくなっているが(注2)、一時隔離などの措置は取らざるをえないにしても、日本で留学生活を再開できるよう早めの方針転換が必要になるだろう。

 感染の再燃を抑えつつも、だがともすると排他的な色彩を帯びる感染症対策をどう取り組んでいけばいいのか、依然として課題は多い。(取材・文/三浦ゆえ)

注1)NHK「米トランプ政権 留学生へのビザ発給規制を撤回」2020年7月15日配信 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200715/k10012516421000.html

注2)NHK「留学生など PCR検査など条件に再入国認める方向で調整 政府」2020年7月11日配信 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200711/k10012509711000.html

西田亮介(にしだ・りょうすけ)
1983年、京都生まれ。専門は社会学。博士(政策・メディア)。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。著書に『メディアと自民党』(角川新書、2016年度社会情報学会優秀文献賞)などがある。最新刊は『コロナ危機の社会学 感染したのはウイルスか、不安か』(朝日新聞出版)