■定期的に骨密度の検査を

 検診では、X線で手の骨を測定するMD法、弱いX線で前腕の骨を測定するDXA法、超音波でかかとの骨を測定する超音波検査などが主流だ。検診で要再検査となった場合は、腰椎や大腿骨をDXA法で調べる、より正確な検査をおこなうことになる。

「女性であれば閉経の時期に、男性であれば定年後の65~70歳ごろに一度は必ず骨密度検査を受けてください。骨量のピークは女性は18歳、男性は20歳で、しばらく横ばいで推移した後、女性の場合は閉経後に急激に減り始めます。骨粗鬆症になるかどうかは、成長期にどれだけ骨量が増えたかと閉経後いかに減らさないかで決まります。このことをしっかり認識してください」(同)

 骨粗鬆症は高齢者の病気と思われがちだが、若い女性の骨事情に対して警鐘を鳴らすのは、獨協医科大学産科婦人科特任教授で、もちづき女性クリニック理事長の望月善子医師だ。

「若い女性にありがちなのですが、極端なダイエットなどが原因で月経不順や無月経になる人がいます。そういう人の骨密度を調べると、若いのに骨粗鬆症を発症していることがあります。骨密度は女性の一生のなかで、女性ホルモンであるエストロゲンの変化と同じ流れをしています。思春期から妊娠・出産をする性成熟期では、きちんと生理があることが骨にとっても大切です」

 子宮がん検診、出産後の1カ月検診などの機会には骨密度検査を勧めると望月医師は話す。

「女性の場合、骨密度検査を受ける機会は、何度かありますから、有効に活用してください。そして、骨粗鬆症は70、80代のおばあさんの病気ではないということもしっかり認識してほしいです」

 まだ骨粗鬆症と診断されていなくても、骨量が減り始めている人は定期的に骨量を測定してもらい、危険水域に入ったらすぐに治療を始めるべきだ。(文・伊波達也)

≪取材協力≫
伊奈病院 副院長 石橋英明医師
もちづき女性クリニック 理事長 望月善子医師

※週刊朝日ムック『新「名医」の最新治療2020』より