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“肝に銘じる”はなぜ「命じる」ではないのか?

間違いやすい漢字表現7選

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「みんなの漢字」編集部dot.
強い意思は心に刻みつけて消えないように(イラスト/桔川伸)

強い意思は心に刻みつけて消えないように(イラスト/桔川伸)

5.片意地を張る
~「片寄った意地」なので「肩意地」でも「固意地」でもない

 「肩肘(ひじ)張る」という似た言葉があることから「肩意地」としたり、頑固なイメージから「固意地」としたりしてしまうことがあるようです。「片意地」は片寄った意地という意味で、「張る」は強引に押し通す意味です。そこから自分の考えを押し通す意味になりました。「肩肘張る」は、文字通り肩や肘を張って威張るさま、転じて堅苦しいさまをいうので意味が異なります。

6.後生おそるべし
~『論語』の一節に由来する言葉

 「後世」としがちですが、正しくは「後生」です。「後生」には、後から生まれてきた人や、後から学んだ人などの意味があります。「後生おそるべし」は『論語』の一節で、後進の者は努力次第でどのようにも成長できるのでおそれるべきである、という戒めの言葉です。「後世」はのちの世という意味のほか、のちの世代という意味があるので「後世おそるべし」でも言葉としては成立するかもしれませんが、語源的には正しくありません。

7.肝に銘じる
~命令ではなく心に刻みつける

 「肝」とは、古くは魂が宿るところで心を意味しました。「銘じる」はもともと金属や石などに刻みつけることで、転じて心に深く刻みつける意味になりました。そこから、心に深く刻んで忘れないようにすることを「肝に銘じる」というようになったのです。「めいじる」を「命じる」とするのは、「心に命令する」ということになってしまうので間違いです。

※漢字エンタメ誌「みんなの漢字9月号」から抜粋

監修/久保裕之(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所)


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