■診断技術の進歩で早期発見が可能に

 加齢黄斑変性は、黄斑部の障害の起こり方によって「滲出型」と「萎縮型」に分けられる。

 日本人の加齢黄斑変性の9割は滲出型で、このタイプでは網膜の下に「新生血管」と呼ばれる異常な血管ができ、増殖する。新生血管はもろく、破れた血管からの出血や、血管から漏れ出した液体成分がたまって網膜が腫れ、黄斑部がダメージを受けて視力が低下する。滲出型は進行が速く、著しく視力が低下し、放置すると失明につながるリスクがある。

 一方、萎縮型では新生血管はできず、黄斑部の組織が萎縮して視細胞が減少していく。進行はゆっくりで、経過観察となる。

 加齢黄斑変性の診断のためには、視力検査、アムスラー検査、眼底検査、光干渉断層計(OCT)検査などをおこなう。

 アムスラー検査とは、変視症の有無を調べる検査で、片目で方眼紙のような図を見て、ゆがみがあるか確認する。簡単な検査のため、自宅でも定期的にチェックすることがすすめられる。眼底検査では、網膜の状態を詳しくみることができ、新生血管や出血の有無などがわかる。OCT検査は、網膜を断面図として見る最新の検査法で、新生血管や黄斑部網膜などの状態を明確に把握できるため、加齢黄斑変性の診断には不可欠な検査だ。

「OCTの普及により、加齢黄斑変性はごく初期に診断できるようになりました。現在では、大学病院などではほぼ全て、開業医でも多くの施設でこの検査が受けられます」(小椋医師)

 OCTにより加齢黄斑変性のタイプが判別できたら、光干渉断層血管撮影や、造影剤を入れておこなう蛍光眼底造影検査など、新生血管の状態をさらに詳しく調べるための検査をおこなう。

 萎縮型は、定期的に経過を観察し、滲出型への変化がみられたら治療を開始する。喫煙習慣のある人は禁煙する、外出時はサングラスをかけるなど目に直接強い光が入らないようにする、ビタミンC、Eなどを含む栄養バランスの良い食事を心がけるなど、生活改善も大切だ。抗酸化作用のあるルテインなどのサプリメントを服用することもすすめられる。

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