(イラスト/今崎和広)
(イラスト/今崎和広)
『新「名医」の最新治療2020』より
『新「名医」の最新治療2020』より

 加齢黄斑変性は、失明の原因疾患のひとつ。もともとは欧米で多くみられたが、近年は日本でも増加しており、高齢人口の増加に伴い、今後さらに増えると予測されている。週刊朝日ムック『新「名医」の最新治療2020』では、その原因や症状について、専門医に聞いた。

【図】加齢黄斑変性にかかりやすい年代は?主な症状は?

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 黄斑部とは、眼球のいちばん奥にある網膜の中心部。直径6ミリ程度で、光をキャッチする「視細胞」が密集しており、「ものを見る」機能の中心的役割を担う。加齢により黄斑部に障害が起こり、視力が低下する病気が「加齢黄斑変性」だ。

 もともとは欧米人に多い病気だったが、近年は日本でも増加している。名古屋市立大学病院眼科教授の小椋祐一郎医師はこう話す。

「食生活の欧米化などが、日本でこの病気が増えている要因のひとつと推測されます」

 この病気のいちばんの要因は加齢だが、「遺伝的な体質も関係している」と、東京女子医科大学病院眼科教授の飯田知弘医師は話す。

「遺伝といっても、親がこの病気になったから子どもも必ずなる、というものではなく、例えば、母と娘の顔が似るのと同じように、体質として引き継がれる要因が関係しているといわれています」

 ほかに、喫煙や強い光に当たること、食生活(ビタミン不足)などもリスク因子とされている。

 黄斑部に障害が起こると、ものがゆがんで見えるようになる(変視症)。障害が進むと、視界の中心が暗くなって見えなくなり(中心暗点)、視力も低下する。

 早期診断のためには、「ゆがみ」に気づいた時点で眼科を受診することが望ましい。ただし、目は片方の見え方に異常が起こっても、もう片方が補うため、両目で見ると異常に気づきにくい。加齢黄斑変性は片目ずつ発症することが多く、「視界のゆがみに気づかず、かなり進行してから受診する人も少なくない」と飯田医師は話す。

「ときどき片目で見え方を確認し、まっすぐな線がゆがんで見えたり、左右の目で見え方が違ったりした場合は眼科を受診しましょう。必ず片目ずつチェックすることが重要です」

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