川島:テレビ局のADが漫画を描くというのは珍しいし、読んでみたら面白かったんですよね。作品の中で描かれていた前説の難しさとかは、僕らの若手のときとも共通する部分があって。僕らは前説が苦手だったんです。『オンエアできない!Deep』にも描かれていましたけど、前説で何をやっても、結局は本番が始まったらお客さんは勝手に盛り上がるんですよね。

真船:そうそう、そうなんですよね。

川島:でも、一方でやけに前説に自信持ってるスタッフもいるんです。前説のために頭をモヒカンにしてくるテレビ局員がいたんですよ。そいつが偉そうに僕らの楽屋に来て「お前らもこれくらいやらなあかんで」って言ってきて(笑)。

 僕は心の中で「なんでやねん! なんで前説でモヒカンにせなあかんねん!」って叫んでいたんですけど。漫画を読んでいてそんなことを思い出しました。

真船:わかります。私も『プレミアMelodiX!』という南海キャンディーズさんが司会をされていた番組で前説をやっていたことがあって。最初のうちは上手くできなくて過呼吸寸前になっちゃったこともあって、見るに見かねて山里(亮太)さんが出てきて「ごめんなさいね、この子、慣れてないから」って助けてくれたりしたんです。

 その後に「何か話せることを考えなきゃ」って思って、前説のための台本を4ページくらい作って行くようになって。それでお客さんも盛り上がってくれたのが嬉しくて、前説に力を入れるようになって。私もそのモヒカンの人みたいになっていたんです。でも、ADって本当はもっとほかにやるべきことがあるんですよね(笑)。

川島:そう、本末転倒なんですよ。お笑いの世界でも「前説が上手い芸人は売れない」って言われたりしますからね 。そっちをがんばりすぎてネタを作らなくなってしまう人がいるんです。漫画を読んでいてそういうところもすごく共感できました。真船さんがAD時代に一番つらかったことって何ですか?

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