■楽天:嶋基宏


(通算成績:1402試合 930安打 打率.242 26本塁打 311打点)

05年にプロ野球に参入したチームの歴史はまだまだ浅いが、創設3年目に野村監督のもとでレギュラーの座を掴み、11シーズン正捕手を務めた。打撃ではシーズンのキャリアハイの本塁打数は4本と迫力に欠けるが、2010年には規定打席に達してパ・リーグのキャッチャーとしては、05年シーズンの城島健司(ソフトバンク)以来となる3割超えの.315を記録。守りでは肩の強さも並みで、派手さはないが野村監督仕込みの配球で投手陣を上手くリードした。2013年には、その年に24勝0敗という奇跡的な成績をマークしたエースの田中将大とのコンビで2度目の最優秀バッテリー賞を受賞し、球団創設初めての日本一に貢献した。

楽天の参入1年目に正捕手を任された藤井彰人は、嶋の台頭で徐々に出場機会は減ったが、2008年はチームの捕手としては最多出場。リーグトップの盗塁阻止(.429)を記録すると同時に、当時のエースだった岩隈久志と最優秀バッテリー賞に選出されている。打撃は決して強打とは言い難いが、安定した守備力とリードを中心とした堅実なプレーぶりで嶋とともに創設時からチームを支えた。楽天は昨シーズン限りで嶋がチームを去っており、今後チームの歴史に残るような名捕手の誕生に期待したい。

日本ハム:田村藤夫
(通算成績:1435試合 1089安打 打率.256 109本塁打 476打点)

今や人気チームとなった日本ハムだが、北海道移転前のいわゆる“暗黒時代”のチームで活躍した。打っては86年に自己最多の19本塁打をマークするなど、2ケタ本塁打を5度記録。また、強肩もリーグ屈指で86年(.427)と、88年(.465)に2度リーグトップの盗塁阻止率をマークしている。当時はパ・リーグに君臨していた西武の伊東勤の陰には隠れていたが、80年代中盤から90年代前半にかけてのパ・リーグを代表する名捕手の一人だった。

その後、正捕手を務めた野口寿浩はヤクルト時代は古田敦也の控えに甘んじていたが、日本ハムでは5シーズンにわたってレギュラーの捕手としてプレー。打撃もそこまでインパクトはなかったが、00年には134試合の出場で打率.298をマークし、98年(.421)と00年(.423)にはリーグトップの盗塁阻止率を記録し、肩の強さも披露した。近年では鶴岡慎也、大野奨太が正捕手を務めたが、完全に守備型で打撃の印象はほとんどない。レギュラー捕手として最も長く活躍し、攻守ともにレベルが高かった田村に匹敵する捕手はいない。

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「コンニャク打法」の捕手といえば?