2年連続リーグMVPの丸佳浩FAで加入し、岡本和真が4番に定着した昨季は、117試合で2番に起用され、本塁打(40本)と打点(94打点)で自己最高をマークした。三振数もプロ入り後、最多となる123個で、犠打はわずか3。近年、MLBでトレンドとなっている「2番打者最強説」を地で行くスタイルでチームのV奪還の原動力となった。

 チーム成績と照らし合わせてみると、前述した4年間でチームは昨年を除く全てでリーグ優勝を逃している。巨人が前回リーグ3連覇を果たした12年から14年では、坂本は3年間とも3番でもっとも多く起用された。ただ、12年は3番124試合、1番19試合だったが、13年は3番で96試合の他に1、2、5、6、7番と打順が固定されず、14年は3番68試合に1番58試合(他に6、7番)と、2つの打順が拮抗している。

 意外と言うべきか、「1番・坂本」で巨人がリーグ優勝したシーズンは、坂本がプロ2年目の09年(141試合出場中、114試合が1番)しかない。主に1番でフル出場を果たした10、11年は中日が連覇を果たし、チームは2年連続で3位に沈んでいる。ちなみに球団史上82代目の4番として48試合に出場した15年(この年の最多は3番の73試合)も、チームは2位に終わっている。

 昨年、新境地を開いてチームを5年ぶりのリーグチャンピオンに導いた2番か、それともチームの優勝がもっとも多い3番か、坂本のベストな打順は何番なのか。ライバル球団のエースとして活躍し、投手コーチも務めた評論家は「本質的には3番タイプ」と評価する。

「先発投手としては、1番でいきなり坂本が出てくるのは嫌だが、走力がそれほどでもないので、いやらしさという点で欠けるところがある。昨年、成功した2番は攻撃的な打線としてはいいかもしれないが、1、2番に足の使える選手がいる方が投手にとっては嫌な気がする」

 現在、巨人の3番には丸がいる。4番には成長著しい岡本が君臨しており、この3、4番は不動とも言える状況だ。この2人に坂本を加えた3人が打線の核になるのは間違いないが、前述の評論家は坂本の意外な打順も提案する。

「3番・丸、4番・岡本が安定してきたので、その後の打者が非常に重要になる。構想では新外国人のパーラにその役割が期待されていたが、オープン戦を見ると、やや実力不足の感が否めない。勝負強さを考えると、坂本を5番に置いても面白いのではないかと思う」

 攻撃型2番の継続か、はたまたクリーンアップ返り咲きか。いずれにしても、巨人連覇のキーマンとなるのは、この男であることに間違いない。