岡医師はガイドラインの改訂ポイントとして、内視鏡治療を受けたあと、サーベイランスという念入りな検査の推奨が新たに加わったことも挙げる。

「大腸は内視鏡治療の際に死角が多くなりがちです。さらに腸管自体が、いったんがんができると続いてできやすい臓器であり、術後もしっかり診ていく必要があるということです」

■セカンドオピニオンとるべきケース

 粘膜下層にできたがんは、リンパ節に転移している可能性がある。ESDでがんを完全に取り切った後、病変の検査の結果次第で、リンパ節転移に備えて手術が必要になるケースがある。

 リンパ節転移のリスクは、パーセンテージで示される。患者はこの確率をもとに、手術を受けるかどうかを決断する。

「リンパ節切除の手術をしなければ、がんが再発するリスクがあります。その一方で、手術をすれば、がんの部位によっては人工肛門になる、といったリスクもあります」(岡医師)

 転移リスクや人工肛門になるリスクのとらえ方は、医師によって異なる。複数の医師の意見を聞いて手術するかどうかを決めるのが賢明だろう。

 笹島医師は、内視鏡治療を希望していながら手術をすすめられたときにもセカンドオピニオンの受診をすすめる。

「病変部を実際より重症に診断して、ESDでの治療が可能であったにもかかわらず手術で治療されるケースがあり得ます」

≪セカンドオピニオンをとるべきケース≫

ケース
ESDによる治療を受けた後に「手術が必要」といわれた場合

がんが粘膜下層にある場合、ESDで取った病変部の診断次第で、手術が必要になるケースも。本当に手術が必要なのか、ほかの医師の判断を聞いてみよう。

ケース
ESDが難しく手術だといわれた場合

がんの場所や形態(大型の隆起病変など)によっては、手術になる可能性がある。難しい症例をESDで治療してほしい場合は、実績が高い病院での治療が望まれる。

■ランキングの読み方と病院選び

 大腸がん内視鏡治療でのESDを安心して受けられる目安として、笹島医師は、治療数「年間100例以上」を挙げる。

「腸管を傷つけたりするなどの合併症が多い病院は、近隣の病院から紹介されなくなってしまいます。したがって、高い技術をもった合併症の少ない病院は紹介が多く、症例数が増えることになります。ESDを数多く実施しているのは、合併症も少なく実績を残し続けている病院です。目安は年間100例以上でしょう」

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病院選びには各治療数の比率にも着目を