楽天時代の野村克也監督 (c)朝日新聞社
楽天時代の野村克也監督 (c)朝日新聞社

 今月11日、84歳で亡くなった野村克也さん。選手兼任時代を含めると南海、ヤクルト阪神楽天の4球団で監督を務め、歴代5位となる1565勝、そして歴代最多の1563敗という数字を残した。南海時代の貯金はあったとはいえ、ヤクルト、阪神、楽天と低迷していたチームを指揮しながら通算勝率が5割を超えているというのは見事という他ない。しかし監督生活がハッピーエンドだったかというと、決してそういうわけではないだろう。

【お宝写真】南海時代の野村克也さんと巨人時代の王貞治さん=1965年

 最後のシーズンとなった2009年は球団創設5年目の楽天を初のAクラスとなる2位に浮上させたものの、契約は更新されずに退任となっている。クライマックスシリーズ前に球団から退任を伝えられた後のミーティングでは人目をはばからず涙を流す姿を見せており、またその後も「あと一年やりたかった」と語っているように、無念な幕切れであったことは間違いない。

 プロ野球の監督交代については様々な事情があるが、この野村監督退任のように、周囲から見ると不可解に映るケースも少なくない。そこで近年の監督交代劇について、改めて振り返ってみたいと思う。

 まず過去10年間に就任した新監督の1年目の成績と、就任前年の成績をまとめてみると以下のようになった。

【パ・リーグ】

西武
伊原春樹:2014年(2位→5位)
田辺徳雄:2015年(5位→4位)
辻発彦:2017年(4位→2位)

ソフトバンク
工藤公康:2015年(1位→1位)

・楽天
ブラウン:2010年(2位→6位)
星野仙一:2011年(6位→5位)
大久保博元:2015年(6位→6位)
梨田昌孝:2016年(6位→5位)
平石洋介:2019年(6位→3位)
三木肇:2020年(3位→?)

ロッテ
西村徳文:2010年(5位→3位)
伊東勤:2013年(5位→3位)
井口資仁:2018年(6位→5位)

日本ハム
栗山英樹:2012年(2位→1位)

オリックス
岡田彰布:2010年(6位→5位)
森脇浩司:2013年(6位→5位)
福良淳一:2016年(5位→6位)
西村徳文:2019年(4位→6位)

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら
次のページ
監督交代は“吉”と出る場合が多いのか…