今年は履正社が大阪勢として2年連続で夏の甲子園を制した (c)朝日新聞社
今年は履正社が大阪勢として2年連続で夏の甲子園を制した (c)朝日新聞社

 春の選抜は東邦(愛知)、夏の選手権は履正社(大阪)が優勝を飾った今年の高校野球。秋からは既に新チームが始動しており、2020年1月24日には令和初となる選抜出場校も決定する。2020年の高校球界はどのような勢力図になるのか。秋の戦いぶりから占ってみたいと思う。

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 選抜で優勝候補の筆頭に挙げられるのが、11月の明治神宮大会の覇者である中京大中京(愛知)だ。秋の県大会では県内のライバルである東邦を7対0、愛工大名電を5対0と全く寄せ付けず、東海大会と神宮大会では接戦を勝ち切る強さも見せた。

 エースの高橋宏斗(2年)はコンスタントに140キロ台をマークするスピードと、変化球を低めに集める制球力を兼ね備えた本格派右腕。ピンチでギアを上げられるのも大きい。2番手の松島元希(2年)も小柄ながら馬力のあるサウスポーで、最速は145キロを超える。野手陣も旧チームから中心の印出太一(2年・捕手)、中山礼都(2年・遊撃手)、西村友哉(2年・中堅手)のセンターラインを中心にタレント揃い。攻守のバランスの良さは間違いなく全国でも1、2を争うレベルだ。

 中京大中京の続くのが近畿勢だ。神宮大会の準決勝で1点差の接戦を演じた天理(奈良)は強力打線が持ち味。強打のトップバッター下林源太(2年・三塁手)と主砲の山地裕輔(2年・中堅手)に加えて、ともに神宮大会で大暴れした河西陽路(2年・一塁手)、瀬千皓(1年・左翼手)が成長してきたことが大きい。この冬で投手陣がどこまで底上げできるかがポイントとなるだろう。

 その天理に近畿大会で敗れた大阪桐蔭(大阪)もタレント揃いだ。左の藤江星河(2年)、松浦慶斗(1年)、右の申原理来(2年)、関戸康介(1年)、竹中勇登(1年)と5人の投手が最速140キロを超える。秋はエースの藤江が最後に調子を落としたが、春までに誰が台頭してくるか見ものだ。打線も旧チームから中軸の西野力矢(2年・三塁手)、船曳烈士(2年・左翼手)など力のある打者が並ぶ。秋の近畿大会は正捕手の吉安遼哉(2年)を欠く中での戦いだっただけに、選抜に向けての上積みは大きいと言えるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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