なぜプロ野球は「温情契約」が多いのか…メジャーは対照的に“超シビア” (2/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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なぜプロ野球は「温情契約」が多いのか…メジャーは対照的に“超シビア”

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杉山貴宏dot.
巨人・中島宏之 (c)朝日新聞社

巨人・中島宏之 (c)朝日新聞社

 こうして日米でベテランへの待遇がかなり違う背景には、NPBにしか存在しない保留制度(保留権)、そしてフリーエージェントの持つ意味合いが日本とアメリカでは差がある。

 NPBではシーズン終了後も翌シーズンに向けて所属選手を拘束可能で、選手側には移籍の自由は基本的にない。毎年ごとの1年契約の選手でも、シーズン終了をもって契約満了=自由に移籍可能とはならない。

 MLBではシーズン終了時点でフリーエージェントの権利を有していれば、所属していた球団に縛られることなく文字どおり自由に移籍先を探すことができる。契約関係は白紙に戻されるからだ。

 今オフに楽天が嶋基宏捕手に対し、減額制限を大幅に超えるダウン提示をもって事実上の戦力外通告としたような、無駄な軋轢や非難を招くことはMLBではありえない。単に再契約のオファーをしなければそれでサヨナラだ。退団という結果は同じではあるものの過程には大きな違いがあり、どちらがいいか悪いかは一概には言えない。

 国民性の違いという観点で言えば、日本では功労者への冷遇に対して敏感と言っていいだろう。先の嶋の例でも、確かに嶋は楽天創設以来の主力捕手だったが近年は衰えも目立ち、今季のクライマックスシリーズではメンバー外だった。成績面を考慮すれば戦力外はそこまで不思議ではないが、石井一久GMに対して嶋を退団に追い込んだとして批判の声を挙げるファンも多い。

 かつて井端弘和が16年在籍した中日から大減俸を提示されて退団した際も、批判は球団側に集まっていた。いずれのケースもMLBのように契約切れからの再オファーなしならば、そこまで批判は高まっていなかったと思われる。

 またNPBでは選手保有枠が70人と、メジャー契約可能な選手枠が40人のMLBよりも多く、MLBでのマイナー契約に相当するものがないというのも大きい(育成契約はあるが、ベテランへのオファーとしては趣旨に反する)。


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