MLBのように一軍では厳しいかもしれないからとりあえずマイナー契約を結んで様子を見ようということができない以上、球団に残したければ普通に70人の保有枠に入る契約をするしかない。だが70人も枠があれば、ベテラン数人が戦力にならずとも40人枠のMLBよりも影響は少ないため、球団側もオファーは出しやすい。こうした点も、NPBが温情的に映る理由なのかもしれない。

 結果を出せなかったベテランをチームに残す温情を示しやすいNPBは、一方で若手の枠が少なくなる弊害がある。選手をドライに放出するMLBは世代交代などの活性化は図りやすいが、数年でがらりとメンバーが変わってファンがしらける恐れがある。

 すでに述べたようにこれは優劣の問題ではなく、どちらの方法なら選手やファンがより納得するかという感情論、あるいは国民性の違いだろう。いずれにしても契約を結びながら戦力にならない選手は「不良債権」扱いされるのが厳しいプロの世界。現役続行を勝ち取ったベテランたちには、ぜひ往年の輝きを取り戻す復活劇を見せてほしいものだ。(文・杉山貴宏)