「昔の事例ですが、『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)の初代ブラックデビルは高田純次がキャスティングされていたのですが、初回収録後におたふく風邪になってしまい、当時まだ若手だった明石家さんまが代役を務め、そのままブラックデビルの座を勝ち取りました。また、全盛期のとんねるずが1990年にドラマ出演のため半年間充電期間をとったときに、その穴を埋めたのがウッチャンナンチャン。彼らはこのチャンスを活かして瞬く間に売れました。大河ドラマでも過去に有名な降板劇がありました。1974年に放送された『勝海舟』では主演の渡哲也が胸膜炎のため9話で降板。10話から松方弘樹が勝海舟を演じたのです。ちなみに、同作品は脚本の倉本聰がNHKのスタッフと衝突し、52話中47話まで書いて降板。そのまま北海道へと渡ったのですが、この降板がなければ、かの名作『北の国から』(フジテレビ系)は生まれなかった。降板劇はときに大損害を与えますが、このような副産物もあると言えるのです」

 消える者いれば、新たに台頭する者も。世間を騒がせたトラブルの裏には必ず悲喜こもごものドラマがあるようだ。(藤原三星)

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藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・芸能ウェブライター。エンタメ業界に潜伏し、独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を書き続ける。『NEWSポストセブン』『Business Journal』などでも執筆中。

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