※写真はイメージです(写真/Getty Images)
※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 バレーで肩を痛めてしまった、スポーツクラブでひざを痛めてしまった……。あなたの周りにもそういう人はいないでしょうか? 健康を維持するための運動や趣味のスポーツも、ついやりすぎてしまい関節など痛めてしまうケースがあります。週刊朝日ムック『首腰ひざのいい病院2020』では、そんな運動をやり過ぎて痛めてしまった2つのケースを、2人の専門医に話を聞きました。

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【バレーボールで肩腱板断裂●48歳女性】

 横浜市在住の主婦、大川真子さん(仮名・48歳)は、20代の頃からママさんバレーを続けています。1年ほど前から、アタックの後に右肩に軽い痛みを感じるようになりました。しかし日常生活に支障がなかったため、そのままバレーを継続していました。

 その後のある日、大川さんがアタックでボールを強打したところ、右肩に瞬間的に激痛が走り、腕を上げることができなくなってしまいました。昭和大学藤が丘病院の西中直也医師の診察を受けたところ、MRI検査で肩腱板断裂と診断されました。

 大川さんの右肩はアタックの衝撃により、関節の骨につながる四つの筋肉の腱板のうちの一つ、棘上(きょくじょう)筋の腱板が完全に断裂していました。切れてしまった腱板は自然にくっつくことはありません。リハビリをおこなうことで肩の動きはある程度改善しますが、元通りの動きを回復するためには手術で切れた腱板を引っ張って骨に縫いつける必要があります。

 西中医師は、切れたばかりの腱板ほど術後の回復がよいこと、大川さんが年齢的にもまだ若く、今後もレギュラーとしてバレーボールを続けたいという強い希望があったことから、すぐに手術することを勧めました。大川さんは手術することを選び、肩に数カ所の穴を開けてそこから手術器具を挿入しておこなう関節鏡視下での手術が実施されました。

 手術後の経過は良好でした。週に一度の病院でのリハビリを続け、半年後には、軽い練習を再開できました。9カ月後には完全復帰を果たし、今までどおりレギュラーとして活躍できるようになりました。

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「肩の痛みが出にくいからだ」を維持する