ネットならボタンを押すだけで届けてくれるので、買いに行く時間もかかりません。現在はアルバイトの時給は、東京と神奈川では最低賃金が千円を超えていますし、全国の最低賃金を平均しても900円以上です。千円程度の本を1時間かけて探し、その後何日も見つからずもやもやしているのは、「探し物のアルバイトをしたにもかかわらず給料が入らなかった」ようなものです。それならば、頭を切り替えて「10分程度探してなければ買う」という行動を選択したほうが有意義です。

 私の家では、しょっちゅう息子の上履き袋が見当たらなくなります。「この辺りに置いたかな?」と息子用のひき出しを探しますが、見つからないことがほとんどです。そんなときも、ずっと探し続けるのではなく、連絡帳に「幼稚園に上履き袋おいてありませんか?」と書いて提出します。すると、大体は息子が置き忘れてきていることが発覚します。この選択により「家にないにもかかわらず必死に袋を探す」という不毛な時間をなくすことができます。

■一日のうちに9千回も選択をする人間

 人は、一日のうちになんと9千回も選択をするそうです。何を食べるか、まず何の仕事をするかなど、毎日それぞれ決めなくてはいけないことがあります。

 そこで重要なのが、「今、最優先ですべきことは何か」を選べる力だと思います。「○○さんにメールをする」「文書をチェックする」なんていう用事は、簡単なのでさっさとやったほうがラクだと思ってしまうものですが、重要なものでない限り後回しにしていいかと思います

 。なぜならそれは、電車に乗っている間や、待ち時間などのスキマ時間にできてしまうものだからです。今やりたいものと、今やるべきものは、また違うのです。

 行動の優先順位を決められる、今何をすべきか決めるという判断力は、人生の中で非常に役に立つスキルです。だとしたら、子どものうちから鍛えておいたほうが、要領よく物事を進められる子になるかと思います。

 まあ、そうはいっても子どもですから、どんな行動を選択すべきかなんて単純なものになります。息子なんて、幼稚園バスが到着しそうだというのに、着替えもせずに突然ロボットを箱から出して組み立てようとしたりするので……今何をすべきかなんて簡単にわかるわけです。

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まずは発言させることから