キョンキョンこと小泉今日子さんは、言わずと知れた「あまちゃん」での母親役。パンフレットには、小泉さんと渡辺さんとのんさんのスナップ写真の他に、父親役だった尾美としのりさんと渡辺さんとのんさんの写真も載っていた。ハートフル。

 なのだがロビーに出ると一転、「大人の事情」が思い出される。テレビ局や有名な俳優からの花がズラリと並ぶのだが、ほとんどが「渡辺えりさんへ」と「小日向文世さんへ」。のんさんへの花はずっと少なく、名前と顔が一致する贈り主はラサール石井さんと春風亭ぴっかりさんだけだった。

 ラサールさんは、のんさんがヒロインで2020年春公開予定の映画「星屑の町」の企画から関わる出演者。ぴっかりさんは、落語という世界の人。「ゴーゴー、ラサール&ぴっかり」ではあるものの、ちょっと凹むロビーだなー。

 などと思いつつ、よーく目をこらすと、「えり様 小日向様 のん様」とあるお花が! 贈り主は木野花さん! 渡辺さんと同じ演劇界の重鎮にして、「あまちゃん」の海女さん仲間。木野花さん、ありがとうございます。

 7月、公正取引委員会がジャニーズ事務所に「注意」をしたことが明らかになり、のんさんの事務所の社長も現状を発信した。9月、ジャニー喜多川さんの「お別れの会」が開かれた翌日、錦戸亮さんの事務所脱退が発表された。

 冒頭で紹介した「おはよう日本」でのんさんは、「自分の大事なものを忘れそうになったら、どうすればいいか」とアナウンサーに聞かれ、「そういう場合は、自分が生きてるってことに自信を持つ。誇らしげに、調子に乗っちゃえばいいと思いますね」と答えていた。

 のんさん、誇らしく、調子に乗りましょう。少しずつ、時代は動き出していますから。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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