プレゼン力をいかんなく発揮、オリエンタルラジオ・中田敦彦(C)朝日新聞社
プレゼン力をいかんなく発揮、オリエンタルラジオ・中田敦彦(C)朝日新聞社

 9月4日、オリエンタルラジオの中田敦彦が手がけるYouTubeチャンネル「中田敦彦のYouTube大学」の登録者数が100万人を突破した。芸人YouTuberとしてはキングコングの梶原雄太に続く2人目の快挙だ。

 圧倒的な知名度を誇る芸能人といえども、登録者数100万人の壁を破るのは容易ではない。このYouTubeチャンネルは、オリエンタルラジオの代名詞になったリズムネタ「武勇伝」、音楽ユニット「RADIO FISH」としてリリースした楽曲「Perfect Human」に続いて、中田がプロデュースした3番目の大ヒット作だと言える。

「中田敦彦のYouTube大学」のメインコンテンツは、歴史、政治、経済などに関する講義である。一般に馴染みのない小難しいテーマを取り上げて、それを分かりやすく噛み砕いて面白く伝えてくれる。中田という芸人の強みである「プレゼン力の高さ」が存分に生かされている。

 このチャンネルのすごいところは、1本30分前後の濃密な内容の講義をほぼ毎日というすさまじいペースでアップし続けていること。そして、中田自身がプレゼンのために毎回猛勉強して新しい知識を入れて、それをアウトプットしているということだ。

 塾講師や大学教授が自分の専門分野について講義するのとはわけが違う。中田は自ら学びながら、それをコンテンツとして提供しているのだ。いわば、壇上に立つプレゼンターであると同時に、生徒の1人でもある。人並み外れた知的好奇心と情熱がなければ、こんなことをやり続けるのは不可能だろう。

 しかも、中田にはほかの芸能人にない特別な才能がある。それは、知的なバランス感覚だ。「教養」と言い換えてもいい。慶應義塾大学を卒業している中田は、お笑い界有数のインテリ芸人である。ここで言うインテリとは単に知識量の多い人ではなく、それを分別する知性の持ち主を指す。中田にはそういう意味での知的なバランス感覚がある。

著者プロフィールを見る
ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

ラリー遠田の記事一覧はこちら
次のページ
コンテンツとしての可能性はまだまだ広がる