それでも彼女は地道に仕事をこなし、女優として成長していく。07年にはドラマ「働きマン」で速水と共演。その1年余りのち、ヤフー知恵袋に「二人で歩いているのをみた」という書き込みがされたことから、この共演が交際につながった可能性が高い。

■似たもの同士のふたり

 じつは俳優デビューから数年、速水は「棒読み」「大根」などとこきおろされていた。08年にはドラマ「絶対彼氏」でロボットを演じ、むしろハマリ役だと皮肉られてもいる。ここ数年の芝居はかなりこなれているので、努力家でもあるのだろう。平山は役者として3年先輩で、学年はひとつ上。業界内の評判はよく、インタビューなどからも真面目な性格がうかがえる。結婚発表にあたって、速水が「尊敬」という言葉を使い、平山が「仕事に対する姿勢と才能に満ちあふれた人柄、魅力にひかれ」と説明していることからも、似た者同士、通じ合うものがあったのではないか。

 そんな彼女の最大の代表作は、ノーシンピュアのCMかもしれない。03年から6年間、起用された。このCMヒロインは、安西ひろこに始まり、彼女のあと、南明奈、トリンドル玲奈と来て、藤田ニコルに引き継がれている。現在のキャッチコピーは「悩める女子のピュアな味方 生理痛にはノーシンピュア」。平山も着ぐるみに入ったりしながら、悩ましいけど頑張る女子を等身大で演じ、共感を集めていた。

 そういう人なので、人生観もわりと普通だ。4年前には、主演映画の舞台あいさつで、

「結婚はしたいですが、残念ながら31歳になってしまったので、頑張りたいです」

 と語っていた。今回、妻となったことで、役柄にも幅が増すだろう。作品世界を邪魔しない堅実な演技ができる彼女は、おそらく公私ともに嫌われにくいタイプ。ノーシンピュアのCMを卒業したあとも「平山あやに戻して欲しいです。この人は普通に好きなんで」という声がネットに出ていた。女性ファンの多いイケメンが選ぶ相手としても理想といえる。

 小泉進次郎・滝川クリステルほどの派手さはないものの、こちらも景色のよさを感じさせる結婚だ。ともに料理好きということで、夫婦共演もそのうち実現するかもしれない。

宝泉薫(ほうせん・かおる)/1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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宝泉薫

宝泉薫

1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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