1987年から4年に一度行われているワールドカップ。過去8大会でホストのチームが決勝トーナメントに進めなかったことは一度しかない。それが前回の2015年大会。なんとラグビーの母国であるイングランドが不名誉な記録の第一号となってしまった。

 これまでのワールドカップは、いずれもラグビーの強豪国で開かれてきた。それだけに、前回大会のようにホストが1次リーグで敗退するのは例外中の例外。過去8大会中5大会でホストチームが決勝トーナメント進出どころか決勝まで進み、うち3大会は開催国が優勝している。

 その中でも特にドラマチックだったのが1995年大会だ。アパルトヘイト(人種隔離)政策に対する国際制裁で1987、1991年大会は出場できなかった南アフリカが母国で開かれた大会でワールドカップ初出場。決勝では大会初の延長にもつれ込む接戦の末に、ニュージーランドを下して優勝した。この経緯は、クリント・イーストウッド監督の映画『インビクタス』に描かれている。

 ニュージーランドはオーストラリアと共催だった1987年大会と単独で2度目の開催となった2011年大会をともに制している。2015年大会での優勝は、ニュージーランドにとって初の海外の大会での栄冠だった。

 イングランドを中心に英仏で開かれた1991年大会ではイングランドが決勝まで進むもオーストラリアに敗れて優勝ならず。一方、2003年は開催国のオーストラリアが決勝でイングランドに敗れて連覇を逃している。この時のオーストラリアの監督が前回大会で日本を率いたエディー・ジョーンズ氏だった。

 1999年大会ホストのウェールズは、決勝トーナメント初戦の準々決勝で優勝したオーストラリアの前に敗退。2007年の開催国フランスは準決勝でイングランドに敗れて決勝進出を逃し、3位決定戦でもアルゼンチンに敗れている。

 一方で、日本のようにティア2と呼ばれるグループに属する国にとっては、決勝トーナメント進出は極めて高い壁だ。

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ラグビー特有の「ティア」という序列