世界のラグビー界では、試合結果次第で頻繁に上下する世界ランクとは別に、長年の伝統や成績をもとに固定化された「ティア」という序列がある。現在のティア1は欧州の6カ国対抗(イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド、フランス、イタリア)と南半球のラグビーチャンピオンシップ(ニュージーランド、南アフリカ、オーストラリア、アルゼンチン)を戦う計10チーム。過去の決勝トーナメント進出は、ほとんどがティア1のチームで占められている。

 フィジーが日本より格上と扱われるのは、世界ランクに加えて、1987年と2007年の2大会で決勝トーナメントに進出している(現在とは異なる大会フォーマットで行われた1999年大会もホストのウェールズを破って1次リーグを突破したが、決勝トーナメント進出を争うプレーオフで敗退)こともある。現在のティア1の10チーム以外で決勝トーナメントに進んだことがあるのは、フィジーと、今年のワールドカップで日本と同組のサモア(1991年、1995年)、それにカナダ(1991年)の3カ国しかない。

 開催国としては大会の盛り上げのために必須の一方で、ティア2の立場では極めて大きな挑戦となる決勝トーナメント進出に挑む日本。今大会は悲願実現のチャンスが最も高い大会と言える。

 今年のワールドカップでは、日本はロシア(9月20日、東京スタジアム)、アイルランド(9月28日、静岡・小笠山総合運動公園エコパスタジアム)、サモア(10月5日、愛知・豊田スタジアム)、スコットランド(10月13日、横浜国際競技場)と対戦する。イングランドで開かれた前回大会では、試合会場や練習施設などに慣れることが重要と、約半年前に候補選手全員でイングランドへの視察遠征まで行った。しかし、今回は勝手知ったる自分の庭でのワールドカップ。試合順も日程も会場も、すべてが日本の悲願達成をお膳立てしてくれている。

 ロシア戦は大会の開幕戦として行われる。昨年11月の欧州遠征では32-27と辛くも逆転勝ちした相手だが、この時に苦戦を経験したことで、本番では隙なく迎え撃つことができるだろう。

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日本代表、決勝T進出への山場は…?