それゆえ、女子アナは一過性の「ブーム」ではなく「文化」として定着した。それこそ、フジテレビ三人娘のひとりだった河野景子はその後、横綱貴乃花と結婚して花田優一らを産み育て、昨年、23年の夫婦生活に終止符。つまりはそれくらいの歳月が過ぎ去るあいだ、女子アナは花形であり続けたわけだ。

 にもかかわらず、ここへきて翳りが見られる。元・女子アナの小島慶子などはこんな発言をしているほどだ。

「毎度のことながら『女子アナ』なるワードが絶滅すればいいと思っている小島です。(略)女子アナというコンテンツは30年かけて週刊誌やスポーツ紙でつくり上げられた定番商品、もはや完全にセクハラかつ性差別の塊で時代遅れなのに、執拗にネタにするところを見るとよほど固定客がいるようですね」(「週プレNEWS」)

 こんな過激な意見が「週プレ」のようなオトコメディアに載ってしまうのも時代の流れだろうか。ただ、彼女の願いとはちょっと違う意味で、女子アナは変質しようとしている。その象徴というべき存在が、ほかでもない水卜麻美アナだ。

■「ぽっちゃり」体型と「大食い」キャラ

 冒頭で紹介したエピソードが示すように、彼女の売りは「ぽっちゃり」体型と「大食い」キャラ。もちろん、アナウンスや進行の能力も確かだが、体型やキャラの魅力なくして、ひとり勝ち状態は生まれなかっただろう。今回、彼女が痩せたのも、5年前の「24時間テレビ」で他の出演者とともにSSサイズのTシャツを着たところ、それが「パツパツ」になってしまったことに由来する。それ以降、真夏恒例の「24時間テレビ」に向け、毎年ダイエットするようになったという。

 そんな姿に対し「今年もパツパツTシャツ姿が見られないのか」と嘆くファンまで出現。こうした支持のされ方は、アイドルよりバラドル、あるいは渡辺直美のような芸人に通じるものだ。それゆえ、女性人気はズバ抜けて高いが、男性からの性的興味はさほどでもない。たとえば、枡太一アナあたりと不倫騒動でも起こさない限り、色気より食い気というイメージは変わらないだろう。つまり、異性からの憧れと同性からのやっかみという女子アナがウケる定型的構図からかなり外れているのである。

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期待したい弘中アナ