フリー転身は?日本テレビの水卜麻美アナ (c)朝日新聞社
フリー転身は?日本テレビの水卜麻美アナ (c)朝日新聞社

「NEWS23」「Live News it!」「NEWSZERO」。これらはフリーの女子アナがメインキャスターを務める報道番組である。その顔ぶれは小川彩佳、加藤綾子、有働由美子というもので、起用が発表された際にはどれも大きな注目を浴びた。ただ、視聴率的には劇的な成功には至っていないようだ。

【写真】一時代を作ったカトパンこと加藤綾子アナ

 また、各局の女子アナを見渡しても、若手に勢いを感じさせる人が少ない。テレビ朝日の入社7年目・弘中綾香アナが台頭してきているものの、まだ知名度不足だろう。

 そんななか、相変わらずの安定感を示しているのが日本テレビの水卜麻美アナだ。ORICON NEWSの「好きな女性アナウンサーランキング」では、2013年から5年連続で1位に輝き、殿堂入り。最近も、音楽特番で司会を務めた姿に「ダイエットに成功したのでは?」という声が相次ぎ、

「喜ばしいことなのにチョイ寂しい」「たくさん食べてぽちゃぽちゃ水卜ちゃん待ってる」

 と、ファンをがっかり(?)させた。これだけでネットニュースになるほど、ひとり勝ち状態が続いている。

 とはいえ、すでに入社10年目の32歳。新たなスターが生まれない現状は、女子アナシーンには喜ばしいことではない。そこからはこんな疑念すら浮かんでくる。女子アナの時代は終わりつつあるのでは、と。そんなわけでまず、女子アナが花形化した経緯を手短に振り返ってみよう。

■女子アナは「ブーム」から「文化」に

 女子アナブームの始まりは、80年代。フジテレビが「オレたちひょうきん族」のなかで「ひょうきんアナ」として売り出し、そこに中井美穂や88年入社の三人娘が続いた。90年代に入ると、日本テレビが同じく三人組のDORAなどで対抗。女子アナは社員兼タレントのような存在として、NHKも含めた各局の人気番組を盛り上げていく。就活シーンでも絶大な競争率を誇るようになるわけだ。

 そこをさらに盛り上げたのが、男性週刊誌のようなオトコ(オヤジ)メディアである。当時はアイドルが下火になり、それに代わる存在が求められていた。テレビで日常的に可愛らしさや色っぽさ、さらにはスキャンダルまで提供してくれる女子アナはうってつけだったのだ。そうなると、オンナ(オバサン)メディアも黙っていられず、欠点や不祥事を面白おかしくあげつらう。こうして女子アナは世の憧れややっかみを芸能人以上に引き受ける対象として、なくてはならないものになるのである。

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宝泉薫

宝泉薫

1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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女子アナは時代遅れ