■貴重な乗車体験は今のうち?

 3・10号車には窓向き座席を6脚備えた「ミニラウンジ」がある。空いていればちょっとした会話や、共用シャワールームの順番待ちもできるフリースペースだ。飲料の自販機やシャワーカード販売機もここに設置されている。なお、車内ではお酒類は買えないので、必要な方は出発前に調達するといい。

 6・13号車の個室寝台(「シングル」「シングツルイン」)と、4・11号車の半数(「シングルデラックス」24~26番個室、「サンライズツイン」3~4番個室)は喫煙可能な個室寝台である。繁忙期で空きがなく、煙草が苦手な人が該当する個室寝台を予約した場合は注意が必要である。

 以上、駆け足で「サンライズ」の全設備を解説した。筆者は2019年4月に「瀬戸」に乗車したが、車内はきれいに保たれており、「最後の寝台特急」の貴重な旅を楽しむことができた。現時点で「サンライズ」廃止は発表されていないが、後継車両の制作も発表されておらず、寝台特急で一夜を過ごすという貴重な体験をできるのは今のうちかもしれない。

 寝台特急での旅に興味をお持ちの方は「いつか行きたい」ではなく「今」乗車した方がいい。それで、少しでも乗車率が高くなることで廃止は遠のき、存続の可能性が高まるのも事実なのだ。

●安藤昌季(あんどう・まさき)/1973年、東京都台東区生まれ。乗り物ライター兼編集プロダクション「スタジオサウスサンド」代表。『教えてあげる諸葛孔明』や「旅と鉄道」「鉄道ぴあ」など、歴史や乗り物記事の執筆・企画・イベントを多数手がける。