──WBCで優勝した日の会見と日付が一緒ですが、運命的なものを感じますか。

 聞かされればそう思うこともできるという程度ですかね。

──一番我慢したものは。

 難しい質問だなあ。僕、我慢できない人なんですよ。楽なこと、楽なことを重ねているという感じなんですよね。自分ができることを、やりたいことを重ねているので我慢の感覚がないんですけど、とにかく体を動かしたくてしょうがないので、こんなに動かしちゃダメだっていうことで、体を動かすことを我慢するというのはたくさんはありました。それ以外はストレスがないように行動してきたつもりなので。

 家では妻が料理をいろいろ考えて作ってくれますけど、ロードは何でもいいわけですよね。むちゃくちゃですよ。ロードの食生活なんて。結局我慢できないからそうなっちゃうんですけど、そんな感じなんです。今聞かれたような主旨の我慢は、思い当たらないですね。おかしなこと言ってます、僕?

──台湾にはイチローさんのファンがいっぱい。台湾に行きたいということはありますか?

 チェンが元気か知りたいですね。チェン、チームメイトでしたから。元気でやってますか。それは何よりです。

 今のところ(台湾に行く)予定はないんですけれども、以前に行ったことあるんですよ。一度。とても優しい印象でしたね。心が優しくていいなと思いました。ありがとうございます。

──イチロー選手が後輩たちに託したいものは。

 雄星のデビューの日に僕は引退を迎えたというのは、何かいいなと思っていて。「ちゃんとやれよ」という思いですね。

 短い時間でしたけどすごくいい子で。いろんな選手を見てきたんですけど、左投手の先発って変わっている子が多いんですよ。本当に(会場笑)。天才肌が多いとも言える。アメリカでもまあ多い。こんなにいい子いるのかなって感じですよ、今日まで。

 でも、キャンプ地から日本に飛行機で移動してくるわけですけど、チームはドレスコードで服装のルールが、黒のジャージのセットアップでOK、長旅なのでできるだけ楽にという配慮なんですけど。「雄星、俺たちどうする」って。アリゾナはいいんだけども、日本に着いたときにさすがにジャージはだめだろうって二人で話をしていたんですね。「そうですよね、イチローさんはどうするんですか」って。僕はまあ、中はTシャツだけどセットアップでいちおうジャケットを着ているようにしようかなと。「じゃあ僕もそうします」って言うんですよ。

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イチローが語る野球の魅力