今月の代表2連戦直後の3月30・31日の週末はトルコ地方選挙のためリーグ戦がなく、日本から戻った後も十分にコンディション調整時間が取れる。そのメリットも踏まえると、ここでは思い切って香川を呼び、森保ジャパンのコンセプトを植え付け、自身の役割を理解させる時間を与えるべきではないだろうか。実際、日本代表チームスタッフも3月に入ってトルコまで足を運び、彼の状態をじかにチェックしている。今回の代表招集はほぼ確実と見ていいはずだ。

 香川自身も森保ジャパン合流を心待ちにしている。劇的決勝弾を奪ったコンヤスポル戦後には「非常に楽しみですね。まだメンバーは分かんないし、監督とも直接コミュニケーションを取っているわけではないけど、僕は呼ばれた時の準備はもうできてます」と意気込みを新たにした。外から見ることになったアジアカップに関しても「決勝で負けましたけど、これからコパアメリカもあるし、非常に楽しみなチームになってくると思う」と期待を示した。堂安律(フローニンゲン)や冨安健洋(シントトロイデン)ら未知なる若手との共演で彼が何をもたらすか。そこは非常に興味深いところだ。

 ただ、これまで通り、香川がトップ下のスタメンに定着し続けられる保証はない。というのも、ご存知の通り、森保体制での同ポジションは南野拓実(ザルツブルク)がファーストチョイスだからだ。その南野もアジアカップ後は所属クラブで先発と控えを行った来たりしていて、十分なプレー時間を確保できていないところはあるが、香川よりはゲーム体力や試合勘があるのは間違いない。加えて香川は3月頭に左足のそけい部を痛め、1試合を欠場していることも懸念材料だ。「ケガをしていたんで、それを繰り返さないために日頃のケアやトレーニングが非常に大事になってくる」と本人も語ったように、今はまだ100%の状態に戻っていないのは事実。30代に突入すれば、さらなるケガに見舞われる可能性も少なくない。それだけに、スタメンとスーパーサブのどちらでも行ける態勢を心身両面で整えておくことが肝要なのだ。

 香川自身は「僕はつねにスタメンを狙っている。もちろん監督が決めることなんで、途中から出ると言っても不満はないし、自分に与えられた場所で結果を残し続けていくしかないけど、自分が一番大事にしているのはスターティングメンバーで出ること」と頭からのプレーに強いこだわりを見せていたが、最近のベシクタシュでの働きを見ると、途中出場でも十分攻撃に迫力をもたらせるはずだ。

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香川に求められるのは…