だから私は、「自分には可能性がない」と思い込んでいる子に、「あなたたちはみんな天才なんだ!」「自分なりのヒーローになれる可能性が、誰にだってあるんだ!」と伝えてあげたい。そして、環境のせいにして、自分の人生をあきらめないでほしい。環境は、自分で選ぶことができる。受験だって就職だって、結婚だってそう。全部、自分で決めていい。そのためにはちゃんとビジョンを描けなきゃいけない。

──4月から大学院に進学するそうですね。

 はい。講演で、「ビリギャルのモデルになった小林さやかです」といった経験談だけではなく、教育理論もしっかり勉強して、「学校教育はこうあるべき」ということをロジカルに説明できるようになりたくて、大学院に行くことを決めました。

 大学院では、聖心女子大で教育理論を研究している益川弘如先生にお世話になります。益川先生は、子供をとりまく「教育環境」の重要性を認識しながら、研究されています。まさに、「なぜ、ビリギャルが生まれたのか」を「奇跡」としてではなく、理論として説明できる方です。

 今後はもっと、自分がした経験を学習理論で支えながら、後輩たちの未来のために学び、仕事の幅も広げていきたいと考えています。

──『ビリギャル』では、小林さんが慶応大を目指した理由は、嵐の櫻井翔さんが在学中だったからだと語られていましたが、今回の志願理由はだいぶ違うようですね。

 わたしも大人になりましたね(笑)。いろんなことを知ると、学ぶことが楽しくなる。こんな時が来ようとは、高校生のときは夢にも思わなかったです。

──今後の目標は?

 好きなことに向かって目を“キラッキラ”に輝かせている子供たちを、もっと増やしたい。

 もちろん、良い大学に行くことだけが人生のすべてではありません。私はたまたま、櫻井翔くんが当時慶応に通っていたから、「イケメンたくさんいそう!」とワクワクしただけ。虫が好きならずっと虫のことを研究すればいいし、アニメが好きならアニメをたくさんみて、インターネットに評論をコツコツ出していれば、仕事に繋がるかもしれない。何でもいいんです。

「ビリギャル」というキャラクターをいただいたことは本当に偶然ですが、今ではその経験を通じて学んだことを後輩たちに伝えていきたい。今ではそれが、私の使命だと思っています。

(聞き手/AERA dot.編集部・西岡千史)