■鹿島 D

 小笠原満男が現役を引退し、ディフェンスリーダーの昌子源がフランスのトゥールーズ、右サイドバックの西大伍が神戸に移籍と難しい局面にある。伊藤翔(←横浜FM)、白崎凌兵(←清水)は、ともに貴重な新戦力であることに間違いないが、チーム力を一気に押し上げる補強は無く、レンタルバックのDFブエノ(←徳島)をはじめ10番を背負う安部裕葵やエースとして期待がかかる鈴木優磨、中盤の主軸を担う三竿健斗といった若い既存戦力の成長分が頼りな部分もある。

 ただ、鹿島の伝統にもれず新卒ルーキーは1年目から戦力化が期待できるタレントが揃う。大学ナンバー1MFと評価の高かった名古新太郎(←順天堂大)、高い身体能力と守備センスを誇る関川郁万(←流経大柏)、プレミアリーグEAST優勝のユースからはMF有馬幸太郎、DF佐々木翔悟が昇格しており、早い段階から出番を得てもおかしくない。また鹿島は昨年夏に獲得したセルジーニョがACL優勝に大きく貢献しており、夏の補強もリーグ戦の順位やカップ戦のタイトルに影響しそうだ。

■浦和 A

 手薄だったポジションに杉本健勇(←C大阪)、山中亮輔(←横浜FM)、鈴木大輔(←柏)という実力者を加え、浦和にいなかったドリブラーの汰木康也(←山形)も獲得。中盤で複数のポジションをこなせるエヴェルトン(←ポルト)の加入によりベテランのMF阿部勇樹を3バックの中央でも起用できる算段ができた。特にエースの興梠慎三と杉本の2トップはJ屈指のコンビになりうる。

 オリヴェイラ監督が「年間70試合をこなせるチーム」と想定する陣容であり、けが人が出なければ各ポジションで常に競争がある状態も生み出せる。昨シーズンは鳴かず飛ばずだったMFマルティノスなどに起用のめどが立てば、目立って不足しているのは5月から6月にかけてU-20W杯に参加が見込まれる右ウィングバック橋岡大樹の代わりぐらい。ただ、左サイドで山中とポジションを争う宇賀神友弥を右に回せばしのぐことは可能だ。最も新加入の岩武克弥(←明治大)が成長すれば彼が埋めることも可能になる。ただ、ACLを本気で狙いにいく負荷は非常に高いので、その前後のベンチワークが鍵になりそうだ。

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