逆にルール5ドラフトで指名できる選手は一球団につき1人なのにもかかわらず、事実上は2人以上を獲得できる方法もある。事前に他球団と話をつけ、その球団がルール5ドラフトで指名した選手を直後にトレードで獲得するという方法だ。

 貴重な40人枠を一時的にとはいえ空けなければならなかったり、結局はトレードで代償が必要になるというリスクはあるとはいえ、これらは抜け道には違いない。日本でもFA人的補償で認められていない移籍拒否を引退示唆で押し通したと報じられた例や、プロテクトリストを作成するタイミングの前に自由契約として保障選手の確定後に再契約した例などが物議を醸してきた。

 もし本当に「現役ドラフト」を導入するならば、メジャーリーグのルール5ドラフトそのままではなく、日本プロ野球の事情に合わせたカスタマイズをきっちり行い、制度上の不備を極力なくしてほしいところ。かつては日本でも「トレード会議」、「セレクション会議」といったものが行われて移籍の活性化を図った例もある。チャンスがなかなか得られない選手に新たな機会を与えたいという趣旨には反対する人はそういないだろう。若手有望株の飼い殺しなど、誰も望んではいないのだから。(文・杉山貴宏)

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