山陰本線「あめつち」は国鉄時代のデザインを今に伝える名列車! 漢字で書くと…? 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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山陰本線「あめつち」は国鉄時代のデザインを今に伝える名列車! 漢字で書くと…?

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櫻井寛dot.#アサヒカメラ#鉄道

「あめつち」の出発前にキロ47形と女性乗務員のツーショット撮影。観光列車ならではのほほえましい瞬間である。キハ47形からキロ47形への改造前後の大きな変化は方向幕の位置と貫通扉の中央に「あめつち」のエンブレムが取り付けられたこと。モチーフは神々、太陽、八雲、金鵄、山、海、白兎、ワニなど■オリンパスOM-D E-M1 MarkII・12 ~ 100ミリF4・絞りf5.6・ISO64・AE・JPEGスーパーファイン(写真/櫻井寛)

「あめつち」の出発前にキロ47形と女性乗務員のツーショット撮影。観光列車ならではのほほえましい瞬間である。キハ47形からキロ47形への改造前後の大きな変化は方向幕の位置と貫通扉の中央に「あめつち」のエンブレムが取り付けられたこと。モチーフは神々、太陽、八雲、金鵄、山、海、白兎、ワニなど■オリンパスOM-D E-M1 MarkII・12 ~ 100ミリF4・絞りf5.6・ISO64・AE・JPEGスーパーファイン(写真/櫻井寛)

「あめつち」アテンダントの前田裕美さん(右)と家郷萌さん。手にするのは地酒「天地」と日本茶「大だ い山せんみどり」。事前に予約すれば「山陰の酒と肴」や「松江の和菓子詰合せ」などを楽しむことができる。ちなみに酒の肴は、島根牛のローストビーフ、宍道湖産しじみ入り玉子焼き、出雲そばの素揚げ、境港産紅ズワイガニなど、山陰の美味満載■オリンパスOM-D E-M1 MarkII・12~100ミリF4・絞りf5.6・ISO6400・AE・JPEGスーパーファイン(写真/櫻井寛)

「あめつち」アテンダントの前田裕美さん(右)と家郷萌さん。手にするのは地酒「天地」と日本茶「大だ い山せんみどり」。事前に予約すれば「山陰の酒と肴」や「松江の和菓子詰合せ」などを楽しむことができる。ちなみに酒の肴は、島根牛のローストビーフ、宍道湖産しじみ入り玉子焼き、出雲そばの素揚げ、境港産紅ズワイガニなど、山陰の美味満載■オリンパスOM-D E-M1 MarkII・12~100ミリF4・絞りf5.6・ISO6400・AE・JPEGスーパーファイン(写真/櫻井寛)

 世界95カ国の鉄道を取材したフォトジャーナリスト・櫻井寛が見惚れた列車を紹介する「ぞっこん鉄道」。今回は、JR西日本山陰本線「あめつち」を紹介する。

【最高の笑顔をみせてくれた「あめつち」アテンダントの2人はこちら】

*  *  *
 東京駅から寝台特急「サンライズ出雲」に乗って「八雲立つ出雲」を目指す。思えば、東京駅から発車していた寝台特急は、「さくら」「みずほ」「はやぶさ」「富士」「あさかぜ」……。すべて廃止されてしまったが、今も走り続ける唯一の寝台列車が「サンライズ」の高松、出雲市行きである。

 わが国の寝台列車事情は、実に寂しくなってしまったが、今こうして、寝台車のベッドに横になり、列車の揺れに身を任せることができるのは愉悦でもある。最後の寝台列車の旅が、いつまでも続くことを願いつつ、レールの継ぎ目を渡る音を子守歌に、心地よい眠りにおちた。

■紺碧色になった名国鉄形車両キロ47形

 翌朝は岡山駅停車で目覚め、伯備線の渓谷美を楽しみつつ9時58分、終着の出雲市駅に到着した。本日の目的は山陰本線の新型観光列車「あめつち」の乗車にある。13時41分発なので発車までおよそ3時間半のフリータイムだ。そこで「一畑電車」に飛び乗って縁結びの神様「出雲大社」にお参りした。御利益がありますように。

 再び出雲市駅に戻り「あめつち」に乗る。漢字では「天地」と書くそうだが『古事記』の冒頭の一文が、「天地の初発(はじめ)のとき」。

 なるほど、いかにも神話の国を走る列車らしいネーミングだ。車両はキハ47形からの改造車、キロ47形の2両編成だが、濃いブルーを基調とした外観も美しい。

 と、そのとき、デジャブ(既視感)に陥った。「あめつち」には、本日初めて乗るので、これまで実物を見たことがなかった。けれどもこのブルーはどこかで見ている。しかもつい最近だ。記憶の糸をたどってみれば、今朝、出雲大社の大鳥居を仰ぎ見たときの紺こん碧ぺきの青空に行き着いた。そこで「あめつち」の車両紹介を検索してみれば、「車両全体の紺碧色は、山陰の美しい空や海を表現」とある。なるほど!と、合点を打った。

「あめつち」の種車となったキハ47形は、1977年から82年にかけて製造された近郊用ディーゼルカーである。もちろん国鉄時代のことだが、JRへの移行が87年だったので、いわば最後の国鉄形車両というわけだ。国鉄時代のキハ47形は、「たらこ色」と呼ばれる朱色一色で、格好いいとは思わなかったが、それから40年後の今日、「あめつち」として再デビューを果たしたキロ47形は実に格好よく感じられる。国鉄時代のデザインを今に伝える名列車である。

◯櫻井寛(さくらい・かん)/1954年、長野県生まれ。鉄道員にあこがれ昭和鉄道高校に入学したが、在学中に鉄道写真にみせられ、日本大学芸術学部写真学科に進む。卒業後、出版社写真部勤務を経て、90年にフォトジャーナリストとして独立。93年、陸路海路のみで88日間世界一周。94年、『鉄道世界夢紀行』で第19回交通図書賞を受賞。著書に『ぞっこん鉄道今昔』(朝日新聞出版)など多数。


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