3位以下の投手ではいずれも社会人出身の勝野昌慶(中日3位)、大貫晋一(DeNA3位)、齋藤友貴哉(阪神4位)が戦力となりそうだ。勝野は高卒3年でのプロ入りで今年22歳とまだまだ若いが、社会人1年目の秋にプロアマ混成のU-23W杯の代表にも選ばれるなど早くからその素材の良さが注目されていた右腕だ。昨年のドラフト会議後に行われた日本選手権でも3試合に登板し、準決勝の東芝戦では完封勝利をマークするなどの活躍を見せ、チームを優勝に導くとともに最高殊勲選手賞にも輝いた。まだ粗さは残るものの馬力は本物で、走者を背負ってからも粘り強い投球ができるのが持ち味。先発投手陣が手薄なチーム事情だけに、早くからの抜擢があってもおかしくはないだろう。

 大貫はセンスの良さとまとまりが光る好投手。まだまだ細身で日本体育大学時代は故障も多かったが、昨年はチームの主戦として一年を通じて安定した投球を見せ、社会人3年目でプロ入りをつかみとった。横にきれいに滑るスライダーと対になるツーシームをコースに投げ分け、左右のコーナーワークで勝負するタイプで、昨年秋の日本選手権では2完投をマークするなど長いイニングを投げられるのも持ち味。上茶谷とともに一軍の枠を争うようなことになれば、右の先発投手が不足しているチームも活性化するだろう。

 齋藤はストレートの勢いだけなら今年の新人の中でも指折りの大型本格派右腕。全身を使った躍動感あふれるフォームから繰り出す150キロ前後のストレートは威力十分で、好調時は球威で圧倒できるピッチングを見せる。昨年夏の都市対抗での出来がもうひとつだったためドラフトでの評価は下がったが、その実力は上位指名の投手と比べても決して劣るものではない。面白いと思うのはリリーフでの起用だ。先発投手陣はある程度頭数が揃っている阪神だが、中継ぎは外国人以外はベテランが多く、若さに欠ける陣容になっている。それだけに短いイニングを球威で圧倒できる齋藤の存在はブルペンに新しい風を送り込むことも十分に考えられるだろう。

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野手筆頭は阪神のドライチ