そんなわけで、すずちゃんの司会を予測するのはごく簡単。当てて当然。なので、コラムをこう締めくくった。「すずちゃん、司会上手だといいなあ」

 終わってみれば司会上手だったのは、総合司会・内村光良だということになるだろう。内村が「なつぞら」のナレーションをすることも紅白の後半に発表された。

 審査員に選ばれていた永野芽郁(「半分、青い。」)と安藤サクラ(放送中の朝ドラ「まんぷく」ヒロイン)が登場したところで、すずちゃんが内村に「『なつぞら』に参加いただけるんですよね?」と問いかけた。すると内村がこう答えた。「はい、ここで発表いたします。私、内村、『なつぞら』の語りを担当します!」

 紅白=壮大な「なつぞら」宣伝フェスティバル。

 話は変わるが、昨年NHKを退職した有働由美子さんの著書『ウドウロク』に、紅組の司会をした話が出てくる。タイトルは「あの大仕事」。初めて司会をした2001年、カンニングペーパーなしで進行せよと命じられたそうだ。

<すべて暗記って……。五十組以上の出場歌手のお名前と曲、応援で出演される方々のお名前や肩書き、伴奏者名や曲紹介……厚さ三・五センチ、前半後半二冊に渡る台本を覚えるって??? 台本の重さがそのまま圧力となり、肩にのしかかる。>

 そこから当日までの苦労(覚えても台本が次々書き直される)、本番のドタバタ(時間調整でコメントを伸縮)、終了後の打ち上げ(干支の着ぐるみで出演者をご接待)、スタッフだけのカラオケ(全楽曲を順番に歌う「紅白やり直し」)などなどが、実に楽しそうに書かれている。有働さんはNHKが好きで、誇りをもっているな、とよくわかる。

 NHKと同じ「マスコミ」と呼ばれる会社に長く勤めた者としては、有働さんは大きな舞台を与えられることで成長したのだな、と思う。だが、昨今のNHKの判断は、「紅白歌合戦を番組宣伝の場にしよう」なのだ。なんだかなー。

 1月1日、すずちゃんのブログがアップされた。「アーティスト様の言い間違えがあったことを」お詫びしていた。「大変、失礼いたしました、、」の後、こんな文章が続いた。

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有働さんもほとんど同じことを…