難治がんの記者が最後に贈る「悩みへのちょっとした対処法」 (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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難治がんの記者が最後に贈る「悩みへのちょっとした対処法」

連載「書かずに死ねるか――「難治がん」と闘う記者」

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野上祐(のがみ・ゆう)/1972年生まれ。96年に朝日新聞に入り、仙台支局、沼津支局、名古屋社会部を経て政治部に。福島総局で次長(デスク)として働いていた2016年1月、がんの疑いを指摘され、翌月手術。現在は闘病中

野上祐(のがみ・ゆう)/1972年生まれ。96年に朝日新聞に入り、仙台支局、沼津支局、名古屋社会部を経て政治部に。福島総局で次長(デスク)として働いていた2016年1月、がんの疑いを指摘され、翌月手術。現在は闘病中

白い薄い紙に包まれている古本

白い薄い紙に包まれている古本

 お盆でスケジュールが詰まったお坊さんに施主が「ありがたいところだけ」読経をお願いすることがある。

 ありがたくなくても、とくに読者にご関心がありそうなことはどこか。配偶者に思い浮かべてもらい、私が答えた。それが以下のやりとりだ。

【問1】 会いたい人に会えないことでパニックを起こしたらどうすればいいか。

【答】 会おうとすれば会える時と、会いたいけど会えない時がある。つまり、世の中には変えられることと変えられないことの2つがあるとコラムで書いた。そこは受け入れるしかない。私の母親が13年前に亡くなったときには、もうそういうもんだと自分は考えていた。そういう風に思えるかどうかは、体験の有無と無関係。

 ちなみに受け入れに限らず、その時その時で必要な理屈はその都度、自分で考え、取っ替え引っ替えすればいい。お互いは矛盾していても、自分を都合よく導けるのならば。

【問2】 どう決めたらいいか迷った時はどうすればいいか。

【答】 選択肢がいくつかあるのなら、それぞれの良い点と悪い点を洗い出して比較すればいい。ただし、選択肢が1つしかないこともある。その場合は悩んでも仕方ない。「変えられることは変えましょう。変えられないことは受け入れる努力をしましょう」というラジオ人生相談の言葉をコラムで紹介したことがある。そこに時間を使うのはもったいない。その分、他に違うことをやったほうがいい。想像するに、選択肢が1つしかないのに悩む人は「もう変えることはできない」ことを受け入れるかどうかで四苦八苦しているのかもしれない。それなら、その手前で「選択肢がいくつもある場合もある。しかし、今回はそうではない」と、かなわぬ希望を念入りにつぶしておくといいだろう。

 変えられないことは受け入れる。

 その結論だけみれば、「それが簡単にできないから苦労しているんだ」という声が寄せられそうである。

 私は連載で再三そのことを書いてきたから、連載を読み直していただくことで、ストンと腹に落ちる方もいるかもしれない。

 通勤、通学のない年末年始はそのためにいい時期です。

 それでは、みなさん、良いお年を。

※この連載は今回が最終回になります


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野上祐

野上祐(のがみ・ゆう)/1972年生まれ。96年に朝日新聞に入り、仙台支局、沼津支局、名古屋社会部を経て政治部に。福島総局で次長(デスク)として働いていた2016年1月、がんの疑いを指摘され、翌月手術。現在は闘病中

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