「強烈な反日」の中で奇跡の連続…日本代表の“侍魂”に心打たれたアジア杯中国大会【元川悦子】 (2/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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「強烈な反日」の中で奇跡の連続…日本代表の“侍魂”に心打たれたアジア杯中国大会【元川悦子】

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当時、日本代表の主将を務めた宮本恒靖 (写真:getty Images)

当時、日本代表の主将を務めた宮本恒靖 (写真:getty Images)

 それでも、日本はひるまなかった。ジーコジャパンを丸裸にしていた知将、ミラン・マチャラ監督率いるオマーンとの初戦から大苦戦を余儀なくされたが、エースナンバー10をつけた中村の左足が炸裂。1-0の白星で大会をスタートさせた。続くタイ戦は4-1で順当に勝利し、1次リーグ突破が決定。グループ最終戦のイラン戦は0-0のドローで1位通過を決めた。

 しかし、続くヨルダン戦が最大の鬼門だった。スタジアムに集結した大観衆が一斉にヨルダンを応援し、悪意に満ちたムードが漂う中、日本は開始11分にまさかの失点。すぐに鈴木隆行が同点ゴールを奪ったものの、勝ち越せずに90分が終了する。15分ハーフの延長戦でも決着がつかず、PK戦へともつれこんだ。が、そのPK戦で名手・中村と三都主アレサンドロが続けて失敗。日本は絶体絶命の窮地に追い込まれたのだ。

 そこでキャプテン・宮本恒靖が起こした行動が流れを劇的に変える。彼はレフリーに歩み寄り、得意の英語で堂々とこう言った。

「This pitch is rough. This situation is very unfair(ピッチが荒れている。この状況は非常にアンフェアだ)」

 この1カ月前に行われた2004年欧州選手権(ポルトガル)で、イングランドのキャプテン、デビッド・ベッカムが足場の悪い中、2度PKを失敗し、母国が異議を唱えた場面を頭脳派DFは脳裏に焼き付けていた。

「それで思いついたのはあった。俊輔の後、アレックスも同じようになったのを見て、主審に言うことを決断した。芝生は踏み込み足がごそっと流れる感じだった」と宮本は説明したが、驚くことにレフリーは抗議を受け入れ、ゴールを変える決断を下したのだ。

 前代未聞の事態にヨルダンは集中力を失い、日本は息を吹き返す。先ごろ引退したばかりの川口能活が相手4人目のシュートを右手1本で弾いたのをきっかけに4人連続でミス。日本は中澤佑二を除く全員が成功させ、最終的に4-3で奇跡的な逆転勝利を収めた。



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