大学の世界でも、優秀な頭脳の持ち主は、若くして才能をいかんなく発揮する。
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たとえば政治、経済、法律分野では人びとを幸せにする政策を構想する。生命科学の基礎研究ではノーベル賞クラスの成果を生み出す。功成り名を遂げた研究者のなかには、大学の学部生、大学院生のころから将来を嘱望され、まわりよりも早く教授、准教授(助教授)になったケースが少なくない。
『大学ランキング2019』(朝日新聞出版)では、全国の大学を対象に最年少の教授、准教授が何歳かを調査し、一覧で掲載している。2017年5月現在の調査結果の一部を表にした。国立大学では大阪大の最年少教授35歳、東北大の最年少准教授26歳が際立っている。
教授、准教授それぞれの平均年齢について文部科学省は調査を行っていないが、各大学が教員の年齢構成を公表している。それによれば、多くの大学で教授は50代半ば、准教授は40歳前後がもっとも多い。
どうしたら若くして教授や准教授になれるのだろうか。モデルケースとしては以下のようなパターンが考えられる。学部3年で大学院に飛び級し、修士課程1年で博士課程に飛び級、さらに博士課程を1年早く終えれば、24歳で博士号を取得する。そして、すぐに大学に助教、講師として採用され、優れた業績を残せば、2、3年で准教授になる。26~27歳だ。その後、7~8年で業績が高く評価されれば30代半ばで教授になることができる。
しかし、優秀であればもっと早く教授になることがある。2018年1月、横浜市立大では31歳の教授が誕生した。先端医科学研究センターに所属する武部貴則氏だ(東京医科歯科大教授も兼任)。武部氏は桐蔭学園高校出身。2011年、横浜市立大医学部医学科卒業と同時に同大の助手に、2013年に准教授となった。26歳の時である。
武部氏は、iPS細胞から血管構造を持つヒト肝臓原基(肝芽)を作り出すことに世界で初めて成功した。また、肝芽の最適な培養・移植方法を見いだして、ミニ肝臓の大量製造も手がけている。横浜市立大はこうした実績を快挙として、教授に抜擢した。
「当該教員はこれまで数々の優れた研究成果を上げ、国内外からも高く評価されるなど、本学のプレゼンス向上に大きく貢献してきました。こうした実績を評価するとともに、そのアクティビティを後押しするため、本学の附置研究所である先端医科学研究センターの教授に任命したものです。今後、本学の『強み』である再生医学はもちろんのこと、より幅広い分野での研究の展開が期待されます」(同大学ウェブサイト、2018年1月22日)
iPS細胞の研究でノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥氏(1962年生まれ)は、37歳で奈良先端科学技術大学院大助教授、41歳で教授になった。