「49歳のときに3カ月入退院を繰り返しました。両親と妹が看病してくれましたが、『このままずっとひとりでいるのは、ちょっと不安だな』と思ったのと同時に、『もう、結婚は無理だろうな』と複雑な感情が芽生え、今後の人生を真剣に考えるようになりました」

 療養生活は長引いたものの幸い体調も回復し、通常の生活が送れるようになり、念願だったバンドを結成。ライブ活動に精を出した。

「彼とは別々のバンドで活動しているんですが、私のライブを聴きにきてくれて、ときどきデートに誘われましたが、私はただ気の合う音楽仲間だと思っていて本気にしなかったんです。でも、頻繁に誘われるようになって、ある程度、気心も知れていますし、私も根負けしたというか、『一度ぐらいは食事に行ってもいいかな』くらいの軽い気持ちで応じたんです。ところが、思いのほか、音楽の話で盛り上がっちゃって。おまけに、ふたりともビートルズが好きだということが判明してさらに話意気投合。自分でもびっくりするぐらいとても楽しい時間だったんです」

 この日が大きな転機になり、さらに距離が近くなっていった。

■ある日、突然合鍵を渡されて…

 つき合いはじめて1カ月後、ポール・マッカトニーのライブに誘われた。これを境にデートを重ねるようになり、音楽仲間から自然に恋愛関係に。お互いカッコよく見せるとか、必要以上に構えることもなく、素の自分でいられてラクだったという。

「ポール・マカットニーのライブに一緒に行ったのが、そこが結婚への助走だったような気がします。つき合いはじめてからは、ほぼ毎日会っていましたし、私のライブにもついて来るようになって……。そして『毎日会っているぐらいなら、一緒に住もう』とある日、突然合鍵を渡されたんです。びっくりしました。これが彼からのプロポーズだったのだと思いますが、この時点では私はまだ結婚は考えていなかったんですよ」

 というのも彼はバツイチだった。30代の恋愛でバツイチの男性には、ちょっと警戒をしていたからだ。しかし、彼は9年前に乳がんで奥さんと死別していた。

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白井さんが「ホッとした」理由とは?