私大のセンター利用方式の志願者数も17年度が前年度と比べると7%増、18年度が前年度と比べると10%増で大きく増えている(c)朝日新聞社
私大のセンター利用方式の志願者数も17年度が前年度と比べると7%増、18年度が前年度と比べると10%増で大きく増えている(c)朝日新聞社
河合塾調べ。5月30日時点
河合塾調べ。5月30日時点

 誰が言ったか「夏を制するものは受験を制す」などの言葉が出回るほど、受験生にとって大切なこの時期。だが、少し気になる「数字」が2018年入試を総括して見えてきた。私大入試の高倍率化だ。

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 倍率(受験者÷合格者)が20倍を超えるのは、近年人気が沸騰している医学部であれば珍しくない。だが、2018年度入試では、早稲田大や“MARCH”などの私大文系でも10倍超え、20倍越えの学部が噴出した。

 少子化が叫ばれているのにこのような高倍率になるのは、なぜか? 

 その理由は2つある。合格者数の絞り込みと志願者数(延べ。以下同じ)の増加だ。受験者が増え、合格者が減るのだから、高倍率になるのは当然だ。ではなぜ、このような事態になっているのか。

■早稲田は2年間で合格者3444人も減

 まず、「合格者数絞り込み」について説明しよう。15年度入試までは、私学助成金(私立大学等経常費補助金)が不交付となる入学定員充足率(入学定員に対する入学者数の割合)は、8000人以上の大規模大学は1.2倍以上、8000人未満の大学は1.3倍以上だった。大規模大学の場合、この基準が16年度は1.17倍以上、17年度は1.14倍以上と年々厳しくなり、18年度は医学部と同じ1.1倍以上になった。たとえるなら、入学定員が8000人の大学の場合、15年度までは9600人を超える入学者数となった場合が私学助成金「不交付」の対象だったのだが、18年度には8800人を超えただけで交付されなくなったのだ。

 このように基準が改正されて厳しくなった背景には、三大都市圏の大・中規模大学に定員超過が集中していることがある。14年度の入学定員超過は全国で約4万5000人。その約8割にあたる約3万6000人が三大都市圏に集中。さらに定員4000人以上の大・中規模大学の約3万1000人の入学定員超過のうち、約9割の約2万7000人が三大都市圏に集中していたのだ。つまり、受験生の視線は地方大学ではなく都市圏の大学に集中していることがうかがえる。

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早稲田、立命館、青山学院などが合格者数大幅減