■浪人生が急増

 文部科学省高等教育局私学助成課によると、「入学定員を管理して教育にふさわしい環境を確保するとともに、地方から都市部への進学者流出を抑制し、『まち・ひと・しごと創生総合戦略』に掲げられたように、地方大学の振興と地方の雇用機会の創出による地方創成であり、都市圏集中の是正」だという。

 このような入学定員管理の厳格化によって、大学側は「合格者数絞り込み」という“策”にでた。たとえば早稲田大の場合、18年度一般入試の合格者数を16年度と比較すると、16年度が1万7976人だったのに対し18年度は1万4532人と、2年間でなんと3444人も減少したのだ。他にも立命館大は3万1983人→2万4995人で6988人減、青山学院大は9504人→7313人で2191人減、法政大は2万3139人→1万7548人で5591人減と、たった2年間でここまで合格者数が減っているのだ(合格者数は河合塾調べ)。

 高倍率のもうひとつの理由が志願者の増加だ。18年度の私大の一般入試では、志願者数を前年度と比べると7%増と大きく増えた。志願者が増えている要因としては、厳しい入試で浪人生が増えたこと、1人の受験生が受ける大学の数が増えたことなどが考えられる。

 これら入学定員管理の厳格化によって都市部の大学では入学者数の減少が目立つが、地方の大学のなかには入学者が増えた大学もあり、一定の成果が出たといえる。一方で、浪人生は増えている。取材した高校のなかには、18年度の浪人生の数が15年度の約2倍になったところもあったほどだ。

■私大の志願者は前年比107%と増加。大学側は「併願割」も

 私大の一般入試の志願者数は、2007年以降、12年連続で増加している。17年度が前年度と比べると7%増、18年度も前年度と比べると7%増で、2年連続で大幅増だ。私大のセンター利用方式の志願者数も17年度が前年度と比べると7%増、18年度が前年度と比べると10%増で、こちらも大きく増えている。大学によっては2学部目から受験料を割引する「併願割」を設けるなど多様な入試方法の導入で出願しやすくなったことに加え、「安全志向」から一人当たりの出願数が増加したことが、最大の要因と考えられる。

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広がる私大の「格差」