それでは、やはりSEO対策は終わった技術なのか? いや、本来的なSEO対策はこれからより大きな効果を上げていけると、鈴木さんは断言する。

「2016年末に大騒ぎになった株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)が運営する健康・医療系キュレーション(まとめ)サイトのWELQ(※1)の問題は、SEO対策が依然として大きな効果があることを立証しました。WELQの問題は倫理的に問題のある事案でしたが、提供する記事が人の目に触れなければ問題にならなかったかもしれません。多くの健康・医療関連の検索結果が、SEO対策によりWELQの記事に独占されてしまったからこそ社会問題になるほどの注目を集めたのです。つまり、この問題は、図らずも現在もSEO対策の効果が大きいことを示すとともに、(不正部分は改める必要はありますが)現在もSEO対策に大きなチャンスがあることを証明したのです」

●いまこそ、中小規模サイトにチャンスあり

 裏ワザが使えなくなったのなら、これからのSEO対策では、何をすれば良いのか。鈴木さんは、そこに中小規模サイトのチャンスがあると語る。

「検索エンジンの技術の向上とともに、提供するコンテンツ自体の評価が重要になり、この傾向はますます加速していくので、利用者が求めるコンテンツを制作し、それを検索エンジンにより早くより正確に伝えることがポイントになります。しかし、多くのコンテンツを制作し続けるには多大な労力がかかり、検索エンジンにより早くより正確に伝えるためには高度なシステムの開発が必要なので、そのまま対応すると非常にコストがかかってしまいます」

 現在主流となっている正しいSEO対策は非常にコストがかかるため、検索エンジンの技術が低く、正当に評価を受けられなかったつい最近まで、ほんの一握りの大規模サイトでしか研究されてこなかったという。

「売り上げが数百億円・規模が数百万ページを超える大規模Webサイトなら、たとえ数%しか売り上げアップの効果がなくても数億円規模の効果になるので、大規模サイトでは効果が小さくてもSEO対策に潤沢な予算を使えます。だから、検索エンジンの技術が低く効果が低かったときから、大規模サイトでは『正しい対策』を研究し実行してこられました」

 その延長として、正しい対策が主流となってきた現在、大規模サイトでの方法論をそのまま中小規模サイトに転用する手法が主流となり、今でもこの傾向が続いているのだが、ここに問題があると鈴木さんは語る。

「数千から数万のキーワードに対策する場合でも、数百万ページもあれば数百・数千ページで1つのキーワードをとればよくなります。しかし、ほとんどのWebサイトは、多くても数千ページの規模なので、数百・数千ページで1つのキーワードをとる手法では多くて数十個のキーワードしか対策できません。売り上げも数千万円も行かない規模なので、数%の効果では売り上げへの寄与は数十万円に止まるわけで、大規模サイトでは採算がとれても、中小規模サイトでは採算がとれない手法も多くあります。中小規模サイトには、サイトパワーの面でも採算の面でも、大規模サイトの方法論をそのまま適用することはできません」

 つまり、今でも中小規模サイト用の対策ができているサイトは非常に少ないと言えるのだ。SEO業界では中小規模のWebサイトにおける方法論とサービスが不足しているため、まだ大きな成果を得る非常に大きなチャンスが残っているということだ。

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