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 なぜマスメディアはネットを中心に“マスゴミ”と忌み嫌われるのか? 現代においてもっとも過激な批判の声を発信するである「ネトウヨ(ネット右翼)」の憎悪の源はどこにあるのか。橘玲が『朝日ぎらい~よりよい世界のためのリベラル進化論~』(朝日新聞出版)で明かした彼らの実像とは。

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「リベラルな朝日」はなぜこれほど嫌われるのか?

 その理由のひとつは、社会全体の高齢化とともに「リベラルの保守化」が顕著になったことだ。このひとたちの主張は「(自分たちの既得権にかかわることは)なにひとつ変えたくない」に要約できるが、これでは若者たちから見離されても仕方がない。

 しかしこれだけなら、「朝日ぎらい」に見られる底知れぬ憎悪は説明できない。たんなる政策論争や政治思想のちがいなら、論壇やアカデミズムで議論すればいいだけだ。

 しかし現実には、書店の店頭には「朝日ぎらい」の雑誌や書籍の煽情的なタイトルが並んでいる。特定のメディアへの批判がひとつのマーケットをつくりだすのは(おそらく)日本でしか見られない珍現象で、それだけ日本の戦後において朝日新聞の存在が大きかったということなのだろう。

「朝日ぎらい」の理由を訊けば、多くのひとが滔々と語るだろう。そのなかには正当なものもあると思うが、ここでその一つひとつを検証しようとは思わない(※1)。私の興味は、「朝日」についてなぜひとはこれほどまで感情的になるのか、ということだ。

 それを知るためには、現代においてもっとも過激な「朝日ぎらい」である「ネトウヨ(ネット右翼)」について考えてみる必要がある。

 日本におけるネトウヨの定義は難しい。「朝鮮人を殺せ」などの醜悪なヘイトスピーチを行なう団体がネットから生まれたことは間違いないが、最大のヘイト団体である在特会(在日特権を許さない市民の会)の会員を直接取材したものは、ジャーナリスト安田浩一氏の『ネットと愛国』(講談社+α文庫)、『ヘイトスピーチ―「愛国者」たちの憎悪と暴力』(文春新書)と社会学者樋口直人氏の『日本型排外主義―在特会・外国人参政権・東アジア地政学』(名古屋大学出版会)くらいしかない。

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一般的なネトウヨ像とは?