ウェブで投票を募った「あなたが選ぶベストカメラ賞」には、ニコンのD850が選ばれた。この賞は11回目だが、ニコンは8度目の受賞になる。人気投票的な側面は否定できず、ニコンというメーカーもしくはニコンが作るカメラの人気は強い。もちろん人気だけではない。D850は大賞の投票で惜しくも2位に入っている。α9の193点に対して168点だから僅きん差さといってもいいだろう。一眼レフカメラとしてのデキがいい。シャッターを切った感触やファインダーの見え方、AFの精度といった部分はもちろんとして画質の評判も高い。

 なお2〜4位はソニーのフルサイズミラーレス機が占めた。票が割れてしまったともいえるが、α9は4位であり、この辺りはプロを中心とした選考委員との求めるものの違いが出たのだと思われる。

 カメラ記者クラブ会員10人の合議で決める「カメラ記者クラブ賞」については、実のところ例年に比べてかなり短時間ですんなりと決まった。ニコンD850とパナソニックLUMIX G9 PROを選んだ。

 D850は「あなたが選ぶベストカメラ賞」が決まった後の話し合いだったが、それとは関係なく一眼レフの魅力を十分に見せたカメラとして賞を贈ることになった。

 LUMIX G9 PROは、大賞の投票では得票差はあるものの3位に入っている。GH5の静止画版ともいえるが、カメラとしての出来のよさを評価した。おなじみの赤城耕一さんが10点を投票したというのも注目したい。本誌としては、動画主体に見えるGH5より先にG9 PROが発売されていれば、ルミックスのスチルカメラとしての存在感は違ったのでは?とも思えるが、これは意味のない想像だろう。

■来年はニコン、キヤノンのミラーレス機になるのか?

 現在のいわゆるレンズ交換式のミラーレス機の始まりは、2008年10月に発売されたパナソニック LUMIX G1である。09年に「カメラ記者クラブ賞」を受賞している。

 昨年6月号のカメラグランプリ発表では、一眼レフからミラーレスへの流れの変化は、ここ数年が分水嶺になるのでは?と予想した。ただ、それが今年か来年か、後から見て昨年だったかはまだわからない。ニコンは社長が中上位機でミラーレス機を発売することを明かしているし、キヤノンも定番の「Kiss」の名をミラーレスのEOS Mにつけてきた。 今年こそミラーレスが主流になると言われながら何年も経つが、状況としては整ってきたように見える。今年の新製品も楽しみだ。

【大賞(カメラ)の投票結果】
1位 ソニー α9/193点
2位 ニコン D850/168点
3位 パナソニック LUMIX G9 PRO/54点
4位 富士フイルム X-H1/35点
5位 ソニー α7III/32点

【レンズ賞の投票結果】
1 位 オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO/72点
2 位 キヤノン EF85mm F1.4L IS USM/52点
2 位 ソニー FE 16-35mm F2.8 GM/52点
4 位 タムロン 18-400mm F/3.5-6.3 Di II VC HLD(モデルB028)/50点
5 位 オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO/35点

【あなたが選ぶベストカメラ賞の結果】
1位 ニコン D850
2位 ソニー α7III
3位 ソニー α7RIII
4位 ソニー α9
5位 富士フイルム X-H1

※投票結果の詳細は、「アサヒカメラ」6月号で

(解説・猪狩友則/編集部、カメラグランプリ2018実行委員長)

【外部選考委員】
赤城耕一、阿部淳一、阿部秀之、今浦友喜、上田晃司、宇佐見 健、大浦タケシ、大村祐里子、落合憲弘、加賀和哉、河田一規、切大輔、杉本利彦、曽根原 昇、伊達淳一、豊田慶記、中原一雄、萩原史郎、吉村 永、吉森信哉

【特別選考委員】
阿部求己(株式会社マイナビ マイナビニュース編集部 デジタルジャンル編集部長)、酒井康治(日経BP社 日経トレンディネット 編集 編集部長)、上田耕一郎(東京工芸大学芸術学部写真学科 准教授)、熊切圭介(日本写真家協会<JPS>会長)、甲田謙一(日本大学藝術学部 写真学科教授)、志村 努(東京大学生産技術研究所 教授)、塩川安彦(博士<工学>・元千葉大学講師)、早川廣行(電塾 塾長)、松任谷正隆(音楽プロデューサー・アレンジャー)、宮野友彦(株式会社KADOKAWA 週刊アスキー編集長)、百瀬俊哉(九州産業大学芸術学部写真映像学科 教授)、森山眞弓(日本カメラ博物館 館長)、山田久美夫(DigitalCamera.jp 代表)

【カメラ記者クラブ加盟媒体】
アサヒカメラ:佐々木広人、猪狩友則。カメラマン・Webカメラマン:井戸川博英、中野八一、名川正彦。CAPA:菅原隆治、福田祐一郎。デジタルカメラマガジン:福島 晃、佐久間太郎。デジカメ Watch:折本幸治、鈴木誠。日本カメラ:佐々木秀人、大谷圭吾。風景写真:石川 薫、永原耕治。フォトコン:藤森邦晃、山岡佳久。フォトテクニックデジタル:藤井貴城、善積幸子。TIPA。(媒体代表者、担当者の順)