



カメラグランプリ2018が決定した。大賞はソニーのα9。撮像素子の高速読み出しが評価された。投票の内訳とあわせて、今年のカメラグランプリの選考結果を紹介する。
【大賞、レンズ賞、カメラ記者クラブ賞などを獲得したカメラはこちら】
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35回目をむかえるカメラグランプリは、「アサヒカメラ」も加盟しているカメラ記者クラブが主催している。カメラ記者クラブへ参加しているのは8社10媒体になる。
選んだ賞は四つ。選考委員の投票による「大賞」「レンズ賞」と、一般投票の「あなたが選ぶベストカメラ賞」、これに主催のカメラ記者クラブ会員の合議で決める「カメラ記者クラブ賞」だ。選考委員は、カメラ記者クラブの会員とその媒体の編集長、そして各媒体の推薦で選ぶ外部選考委員、外部有識者の特別選考委員の合計52人と1団体(TIPA)の投票による。
投票方法は昨年度から変更になっており、各選考委員10点の持ち点で最大5製品まで大賞とレンズのそれぞれに投票するようにしている。誰がどの製品に何点入れたかは表を参照してほしい。
■大賞は接戦 ソニーα9の魅力
大賞はソニーのα9が選ばれた。ソニーのフルサイズミラーレス機としては2016年のα7RIIに続いての受賞になるが、評価された点はそれとは若干異なる。α7RIIはある種、画質を含めフルサイズのミラーレス機としての完成度に対して票が集まった。それに対してα9は、「メモリー内蔵35mm フルサイズ積層型CMOS」による高速読み出しで、メカシャッターを不要にした部分が評価を集めた。もちろん、メカシャッターも内蔵しているが、電子シャッターで約20コマ/秒で、その間ファインダー像もブラックアウトすることなく見られ、そして無音で撮影できるというのは、デジタルカメラの未来を見せた。すでにスマートフォンではメカシャッターはないし、レンズ交換式カメラでも撮像素子だけで露光する電子シャッター機能を持つものが多いが、動体を撮影したとき形が変形して写ってしまうローリングシャッターゆがみは避けられなかった。読み出し速度の高速化により、これを抑え込み、メカシャッターとほぼ変わらず使える。もちろん、α9ではストロボの同調はメカシャッターが必要だし、グローバルシャッター(全画素同時読み出し)ではないが、α9ではメカシャッターは補助的な存在ともいえる。
■レンズ賞は3年連続のオリンパスで17mm F1.2
レンズ賞はオリンパスのM.ZUIKO DIGITALED17mm F1.2PROになった。マイクロフォーサーズでは撮像素子の小ささから、同じ画角で写すにしても35ミリ判フルサイズより実焦点距離が短くなるためボケを得づらい。そこでこの開放F1.2のシリーズである。オリンパス自身、ボケ味にも注力していると公表している。ボケを得るための明るいレンズシリーズだ。35mm判換算で34mm相当の画角だ。なお、同じくF1.2シリーズとして発売された45mmは5位という結果だったから、単にボケの量や味だけでなく、この焦点距離との組み合わせが評価されたのだろう。なおレンズ賞は、今年で8回目になるが、オリンパスは300mm F4、12〜100mm F4に続く3年連続の受賞になる。