「上司という言葉を消す」今どきの若手を“適応障害”にしない職場とは? (3/5) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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「上司という言葉を消す」今どきの若手を“適応障害”にしない職場とは?

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五嶋正風dot.#ヘルス#働き方
豊田義博氏

豊田義博氏

 顧客から電話がかかってくる。先輩と顧客の会話に耳を澄ませば、「こういう場合はこう話せばいい」とわかる。先輩が上司に、仕事のちょっとした相談をしている。あんな風に立ち話でいいのか。先輩の机の上には書きかけの提案書が置いてある。盗み見て参考にしよう――。こんな調子でかつての職場は、コミュニケーションにあふれ、観察しやすい場だった。「ところが今の連絡手段はメールが主体になり、提案書はパソコンの中です」。

 便利の代償として職場の様々な一次情報が消滅し、若手の学習機会を奪っていった。

 一方で膨大な二次情報がパソコンやネットには存在する。だが豊田氏は、「二次情報にさらっと触れただけでは、情報は自分のものになりません。一夜漬けの試験勉強は、すぐ忘れてしまうのがいい例です」と話す。遭遇した出来事、聞いた話など断片的な一次情報を、後で改めて「なるほどなあ」と内省する。「そうして初めて、情報は自分のものになります」。この積み重ねが自分なりの「仕事の型」につながっていくわけだが、二次情報ばかりで一次情報が減ってしまった現代の職場は、新入・若手社員にとって自らの「仕事の型」を創り出しにくい環境になっているのだろう。

 もう一つ新入・若手社員に大きな影響を与えているのが仕事の高度な仕組み化や細分化だ。例えば法人営業。かつて新規顧客の開拓はアポなしの飛び込み営業など、非常に骨が折れるものだったが、近年は仕組化が進んでいる。他社のユーザーリストやアプローチ候補者リストが用意され、商品説明や接客対応でも高度なマニュアルが用意される。新たにその仕事に就いたとしても、決められた手順をまじめにこなせば、そこそこの数字は残せるようになっている。「ある会社の役員は、自社の若手営業の仕事ぶりについて『まるで作業をしているようだ』と語っていました」(豊田氏)。

 だが、試行錯誤を重ね、自分なりのノウハウを構築していくような働き方は、難しくなっているという。


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