古賀茂明「柳瀬唯夫君、良心に従って“第二の佐川”になるな」

政官財の罪と罰

加計学園

2018/04/16 07:00

著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催
著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催
国会で答弁する柳瀬唯夫・元首相秘書官=2017年8月 (c)朝日新聞社
国会で答弁する柳瀬唯夫・元首相秘書官=2017年8月 (c)朝日新聞社

 安倍晋三総理の元秘書官、柳瀬唯夫経済産業審議官が加計学園疑惑で時の人となっている。

【国会で何を話すかが注目される柳瀬元首相秘書官】

 今回朝日新聞のスクープで明らかになった最も重要な事実は、柳瀬秘書官が愛媛県地域政策課長・今治市企画課長・加計学園事務局長らと会談していたことが愛媛県職員の「備忘録」に明確に記載されていたということだ。これまでは、今治市の記録で、今治市の職員らが、官邸を訪れていたことははっきりしていたが、公開された記録では、面会相手が書いてあるとみられる部分が黒塗りになっていたため、誰に会ったのかということは証明できなかった。

 今回出てきた愛媛県の職員による会談の備忘録の内容の真偽については、中村時広愛媛県知事が直接その職員から聞き取りをして、間違いないことを確かめている。仮に国会にその職員あるいは中村知事が呼ばれた場合(最初は参考人招致だと思われるが)、この事実を証言する可能性が高い。

 他方、柳瀬氏は、昨年の国会で、この会談について、記憶にないから会ったとはいえないという趣旨の答弁を繰り返していた。今回の発表を受けた後のコメントでも、その立場を変えていない。「記憶の限りでは、会っていない」ということだから、厳密に言えば、会っていたが忘れてしまったのかもしれないということも含まれる。したがって、愛媛県の職員と柳瀬氏の話が完全に矛盾するわけではないが、県職員の側には、面談について嘘をつく動機が全く考えられないことから、信憑性においてはかなり高いという評価になる。

 では、一方の柳瀬氏には、嘘をつく、あるいは隠ぺいする動機が存在するのかどうか整理してみよう。

 動機については、二つの側面がある。一つは総理秘書官だった者として、総理の利益を守る立場にあるという側面。もう一つは、純粋に柳瀬氏個人の利益の側面である。

 この点について考える前に、柳瀬氏がどういう人なのか、そして、総理秘書官としてどんな立場にあったのかについて、私が知っている範囲で簡単に紹介しておきたい。


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絵に描いたようなエリートの柳瀬氏

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