わざわざ知育グッズを用意しなくても(利用してもかまいませんが)、たとえば浴槽の注意書きを子どもが見ていたら「ああ、これね、安、全、上、の、ご、注、意、って書いてあるんだよ」と、読んであげてください。でも、読めるようになってほしいなんて思う必要はありません。一緒に同じ光景、風景を眺め、それを言葉にして感動や喜びを共有するだけで結構です。

 私たち夫婦が、この「実況中継」を続けたせいか、息子は2歳にならないうちに数字の5を「ご!」と読んだのを皮切りに字を読めるようになり、2歳半で字を書き始めました。

 ただし、字の書き方も教えたことはありません。落書きで線と線の交差が字に見えることを「発見」し、いろんな線を試行錯誤しているうち、「どうやらあの字にそっくり」という書き方を一つずつ見つけていったようです。

 あくまで言葉は実体験に基づいて発達することが望ましく、「いちご」という字を見て甘酸っぱい味を思い起こせないようなら、言葉が上滑すべりになっています。

 そのためには、文字ばかりの学習用教材を与えるよりは、子どもと日常で一緒に過ごす時間に、目にするもの、耳にするものを言葉にして伝えてあげてください。体験と同時に言葉を耳にすれば、言葉に体験という肉づけが伴います。

 さらに、言葉をなるべく文章にして聞かせれば、子どもは「言葉をつなぐ」おもしろさに気がつきます。

 そうすると、論理的思考も自然に磨みがかれます(しかも、親以上に)。

 実況中継を幼い頃から聞いてきた子どもは、自然に国語力も備わるでしょう。

 その国語力は、学習の助けとなるだけでなく、お母さん、お父さんと感動を共有するために発達していくのです。