今季もエースとして活躍が期待される金子千尋 (c)朝日新聞社
今季もエースとして活躍が期待される金子千尋 (c)朝日新聞社

 まずは、野球ファンの間で囁かれ続ける有名な“オリックスあるある”を紹介しよう。

「前評判のいい時のオリックスは、コケる」

 2008年に小松聖(現オリックス2軍投手コーチ)が15勝を挙げて新人王を獲得、チームも2位に躍進した。若きエースの台頭に加え、打線もタフィ・ローズ、アレックス・カブレラ、ホセ・フェルナンデス、グレッグ・ラロッカと日本ですでに実績を挙げていた4人の外国人野手を並べた強力打線を擁した翌2009年は、評論家やメディアから軒並み優勝候補に挙げられながら借金30の最下位。その年限りで大石大二郎監督は退任することになった。

 ソフトバンクとの激しいデッドヒートを繰り広げ、最後の直接対決で勝てば「M1」、負ければソフトバンクが優勝という大一番で敗れ、無念の2位に終わった2014年。翌2015年はその悔しい経験をバネに、トニ・ブランコ、中島宏之(当時は裕之)、小谷野栄一らの大型補強に乗り出して戦力をパワーアップさせ、打倒ソフトバンクの最右翼に挙げられながらも低迷。シーズン途中に森脇浩司監督が解任され、結局5位に終わった。

 その“法則”に従えば、今季は“ダメな年”になってしまう。つまり、オリックスの前評判は相当高いのだ。優勝候補にも推されている最大の根拠は投手力の充実ぶりにある。

 金子千尋、西勇輝の2枚エースは健在。過去5年で計722回を投げている“イニング・イーター”の助っ人右腕・ディクソンの安定感、ルーキーイヤーの昨年、規定投球回数を突破した山岡泰輔ら計算できる先発陣に、ドラフト1位ルーキーの左腕・田嶋大樹が加わった。

 田嶋は宮崎キャンプのブルペンでも、ストレートのキレはもちろん、チェンジアップやスライダーを巧みに低めへコントロールできる制球力を見せていた。まさしく打者泣かせの実戦派で、評判はうなぎ上り。この5人の先発ローテーションは当確と言えそうだ。

 ここに左腕の松葉貴大、19歳の2年目右腕・山本由伸、教諭歴を持つという助っ人左腕アンドリュー・アルバース、5年目の吉田一将、25歳の小林慶祐らが加わり、先発6番手の座を激しく争っている。

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