救援陣も、通算156セーブの絶対的守護神・平野佳寿が米大リーグのアリゾナ・ダイヤモンドバックスへ移籍も、その穴を埋めるべく日本ハムからFA宣言していた増井浩俊を獲得。プロ通算110セーブの実力者は宮崎キャンプでも仕上がりぶりが誰よりも早く、臨時コーチを務めたかつての阪急のエースで、オリックスのOB会長でもある山田久志氏は福良淳一監督に「増井って、あんなにいい投手だったのか? 俺の評価が今まで低すぎたよ」と驚きの表情でそう告げたという。

 2年目の黒木優太、3年目の近藤大亮、移籍2年目の金田和之ら、150キロ超のスピードを誇る中継ぎ陣も健在。福良監督も「投手陣は揃ってきた。先発の6番手を4、5人で争っている状態ですしね」と、質量ともに充実の投手陣には相当の手応えをつかんでいる。ソフトバンクの工藤公康監督も、周囲に「オリックスが不気味」と警戒心をあらわにしているという。

 ただ、宮崎キャンプでの取材を進めていく中で、どうしても拭い去れない不安が生まれてきた。それがいまだに解消されていない。

 ズバリ、言おう。この投手陣を生かし、もり立てるための守備に不安があるのだ。最大の問題点はチームの根幹とも言える「センターライン」が定まっていないこと。福良監督も「そこなんですよ」という“泣き所”について、回を改めてレポートしてみたい。(文・喜瀬雅則)

●プロフィール
喜瀬雅則
1967年、神戸生まれの神戸育ち。関西学院大卒。サンケイスポーツ~産経新聞で野球担当22年。その間、阪神、近鉄、オリックス、中日、ソフトバンク、アマ野球の担当を歴任。産経夕刊の連載「独立リーグの現状」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。2016年1月、独立L高知のユニークな球団戦略を描いた初著書「牛を飼う球団」(小学館)出版。産経新聞社退社後の2017年8月からフリーのスポーツライターとして野球取材をメーンに活動中。